6ー8 友だち
6ー8 友だち
老婆の遺体は、村の人々の手で老婆の小屋に運ばれた。
老婆の孫だという若者があたしたちを村の外れにある神殿へと案内した。
小さな木造の神殿の扉が開かれる。
そこには、黄金色に輝く美しい長剣と1本の錫杖が置かれていた。
「これは、『勇王の剣』と『聖女の錫杖』です。我々があの『幻獣の王』の玉と共に守ってきたものです。あなた様のもとへお預けいたしたく思っております」
老婆の孫である若者が告げる。
「しかし、これは、お前たちの宝だろう?」
人の姿に戻り村の衣装を着た叔父さんが訊ねるとその若者が口もとをひき結んだ。
「だからこそ、今、あなた様方にお預けするのです。『幻獣の女王』には、今、これの力が必要なのですから」
叔父さんたちがいっせいにあたしの方を見た。
あたしは。
困惑していた。
こんな大切なものをあたしなんかが預かってもいいの?
グリエ君が引き寄せられるように剣を手に取る。
少し力を込めると。
剣がすらっと抜けた。
「これは・・」
皆がどよめく。
「まさか、この場に『勇王』までいたとは!」
「『勇王』?」
あたしが問うと村人の1人が答えた。
「人の子の王のことでございます」
人の子の王?
そういえば村に来る前にメイアがそんなことを言ってたような。
グリエ君は、じっと剣の刃を見つめていたが、やがて鞘へと戻し、あたしにそれを差し出した。
「この剣は、君のものだ、チカ嬢」
「でも、剣は、お前を選んだ」
叔父さんがあたしをグリエ君からかばうように前に出る。
「それにチカは、剣など持ちはしない」
「だが・・僕は、王ではない」
グリエ君が苦しげに顔を歪める。
「それどころか。僕は、賎しい間者だ。身分を隠して『幻獣の女王』であるチカ嬢を探っていたのだから」
「なんであたしを探ってたの?」
あたしが聞くとグリエ君があたしをまっすぐに見て答えた。
「君が世界を滅ぼそうとしはしないか確かめるため、だ」
あたしが世界を滅ぼす?
ぎょっとしているあたしを見てグリエ君が微笑んだ。
「君は。ほんとに普通の女の子だった。世界なんて関係なく、僕は、君たちといることをいつしか純真に楽しんでいたんだ」
「あたしも!」
あたしは、グリエ君に声をあげた。
「あたしもグリエ君といて楽しかった!これからも、ずっと友だちでしょ?ねぇ、グリエ君!」
「チカ・・」
グリエ君がはっとした表情であたしを見た。
けど、すぐに視線をそらせる。
「そんな簡単なことじゃ・・」
「簡単なことだよ!」
あたしは、グリエ君に向かって言い放った。
「グリエ君が何者であろうともあたしの友だちなのは変わらないし!これからもずっと、ずっと友だちでしょ?」
「チカ・・」
あたしは、グリエ君に微笑みかけた。
「それにグリエ君がいなかったらこれからの学園生活がつまらなくなっちゃうし!アンナさんもマリカさんも、メイアだって!みんな、グリエ君が大好きなんだから!」




