1ー6 過去
1ー6 過去
あの時のことだ!
あたしは、思い出していた。
あたしがまだ3歳の頃のことだ。
叔父さんと一緒に家の近くの川に遊びに行っていた時のことだ。
「危ないから、深いところに行ったらだめだよ、チカ」
叔父さんが言ったのにあたしは、大丈夫、と深いところに足を踏み込んでしまって。
あっという間にあたしは、流れに飲み込まれてしまって!
もう、ダメだと思ったとき、叔父さんの姿が見えた。
叔父さんの手をとったその時!
叔父さんの背後にきれいな光が見えた。
あたしは、恐怖に囚われていたにも関わらずその光から目を離すことができなかった。
それは、七色に輝いていて。
白い美しい馬。
額に鋭い角がはえている。
叔父さんは、あたしを庇うように抱き寄せた。
そして。
気がつくとあたしたちは、川岸にいた。
叔父さんは、ぐったりしていて。
なんだか身体が透けてきているのがわかった。
あたしは、怖くて!
でも、このままだと叔父さんが死んでしまうってことはわかってた。
あたしは、叔父さんが死ぬのが嫌で!
必死に泣きながら叔父さんにすがり付いた。
「おじしゃん、行かないで!行っちゃやらっ!」
その瞬間!
叔父さんが光に包まれた。
そして、起き上がった叔父さんは赤い瞳であたしを見つめて言ったんだ。
「このことは、誰にも言っちゃダメだよ?チカ」
叔父さんは、あたしに告げた。
「今日あったことは、僕たちだけの秘密だからね」
あたしは、頷いて。
「なんで忘れてたんだろ?」
叔父さんの頬に水滴が滴った。
あたしは、泣いていた。
あたしの涙に叔父さんは、優しい笑みを浮かべる。
「大丈夫。もう、大丈夫だからね。僕は、チカがユニコーンをテイムしてくれたおかげで助かったんだ」
叔父さんは、泣いてるあたしをそっと抱き上げると歩きながら話して聞かせてくれた。
「僕は、どうやら『幻獣の器』だったらしいんだ。でも、たいていは、幻獣に触れられた人間は消滅する。たとえ『器』であっても幻獣の力に飲み込まれれば消滅する」
叔父さんの声は、耳に心地よくてあたしは、だんだん目蓋が重くなってきて。
叔父さんは、あたしを抱いたまま話続けた。
「僕も本当ならあの時、消滅する筈だった。それが消滅しなかったのは、チカのおかげだ。チカ、君は、幻獣をテイムできる『幻獣の女王』なんだよ」
あたしは、半分夢の中で叔父さんの話を聞いていた。
眠そうに目を擦っているあたしを見て叔父さんは、くすっと笑った。
「無理もない。いくら僕の力を共有しているとはいえ、いきなり召喚の魔法を使ったんだ」
叔父さんは、あたしをあたしの部屋の寝室まで運んでベッドに寝かせてくれるとそっと頬に口づけした。
「今は、眠って、チカ」
叔父さんがあたしの頭を撫でるのがくすぐったくてあたしは、身じろぎした。
叔父さんは、眠っているあたしをしばらく見つめていた。
「おやすみ、僕の女王」
そして。
あたしは、眠りに落ちていった。




