6ー4 何者だ?
6ー4 何者だ?
数十分後。
無事に島にたどり着いたあたしたちは、なんとか島に上陸した。
しかし。
島だと思っていたのは、何かの遺跡のような場所のようだった。
あちこちに壊れた石畳のようなものがあり、石造りの建物の跡があった。
もしかしたらここは、古い街だった場所なのかも。
あたしがそう思っているとグリエ君が呟いた。
「このダンジョンの最下層にこんな場所があったなんて・・」
グリエ君が興奮した様子で頬を上気させて話す。
「いままでこのデューラ・ダンジョンの最下層は、30階層にある沼地だと思われていたんだ。それなのに、こんな場所がまだあったなんて!」
グリエ君は、岩が隆起しているところを避けながら島の奥へと歩いていく。
「しかも、ここは古代の遺跡みたいだ」
グリエ君が木々の奥にある何かを指差す。
「あれは、古代にこの辺りの国々で崇拝されていたという世界神フローラ神の像だ!間違いなくここは、今から数百年前の街の跡だ!」
あたしは、蔦が絡まってところどころが欠けている女神様の像を見た。
「グリエ君ってそういうの詳しいの?」
あたしは、なにげに聞いた。
一瞬、グリエ君が動きを止める。
「い、いや。祖父が・・その、歴史に詳しくて。僕もいつの間にか影響されてただけで・・」
なぜか、言い訳するグリエ君にあたしは、にっこりと笑いかけた。
「錬金術が得意なだけじゃなくて氷魔法も使えるし、剣も腕がたつし。おまけに歴史にも詳しいなんて頼もしいなぁ」
あたしの言葉にグリエ君がホッと力を抜くのがわかった。
少し中に入った辺りに小さな洞窟みたいな場所があった。
あたしは、そこで背負っていたリュックを下ろして中から着替え用に持ってきていたジャージを取り出してメイアの前に置く。
グリエ君には、薪を探しにいってもらったから今は、あたしとメイアの2人きりだ。
メイアは、ぶるん、と体を揺するとじょじょに変化していった。
もとの姿に戻るとあたしの置いたジャージを着る。
「ありがとう、メイア。おかげで助かったよ」
「いえ。当然のことです」
メイアは、答えると声をひそめた。
「それより、あのグリエという少年、何者でしょうか?」
はいっ?
あたしは、メイアの言葉に首を傾げる。
「グリエ君は、グリエ君なんじゃ?」
「あれは・・かなりの実力を持つ魔法剣士です。しかも、ダンジョンの知識も深い。わたしには、何か隠してチカ様に近づこうとしているとしか思えないのです」
そうなのかな?
あたしが何か言おうとした時、茂みからがさっと音がして薪を抱えたグリエ君が現れた。
「メイア?」
グリエ君が目を見開いて立ち尽くす。
「君だったのか」
「そうだ」
メイアがあたしの前に出る。
「わたし、だ」
メイアは、あたしの持っていた短剣を抜くとグリエ君に向ける。
「お前は、何者だ?」




