表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

55/99

5ー11 街道の女神

 5ー11 街道の女神


 久しぶりに登校するとアンナさんとグリエ君があたしたちを迎えてくれた。

 「大丈夫?チカ」

 「大丈夫だよ!」

 あたしは、いつもの教室の席につくとにっこりと笑った。

 「ちょっと叔父さんが風邪をひいちゃって」

 「叔父さんが?」

 アンナさんが訳知り顔で頷く。

 「そうなんだ。家族は大切にしないとね」

 「それより、聞いた?」

 グリエ君があたしを探るような目で見つめる。

 「『街道の女神』の話」

 「『街道の女神』?」

 あたしは、嫌な予感がしていた。

 アンナさんがあたしの方へと身を乗り出す。

 「そう!この前、街道に魔物が出現してすごい騒ぎになったんだけど、ね」

 「そうなんだ」

 あたしは、ちらっとマリカさんを見るがマリカさんは、そっと視線をそらした。

 アンナさんが話を続ける。

 「たくさんの怪我人がでたんだけど死者は、1人もでなかったの。実は、診療所の治癒師たちが駆けつけてみんなの治療をしてくれたんだって!」

 「それが、ここだけの話なんだけどこの学園の生徒らしくって」

 グリエ君が興奮した様子で話す。

 あたしは、悪い予感がしていた。

 バレてたらどうしよう?

 「なんでも特別クラスにいるエレノア・ガストール男爵令嬢が大活躍したんだとか」

 アンナさんがふん、と鼻を鳴らす。

 「エレノア嬢のことは知ってるけど、いけすかない人なのよ?それが聖女とか褒め称えられててムカつくわ!」

 「エレノアさんが?」

 あたしは、マリカさんのことを見た。

 マリカさんは、申し訳なさげに視線をそらしたままだ。

 どういうこと?

 なんでエレノアさんが聖女ってことになってるの?

 というか、エレノアさんは、あの場にはいなかったのに?

 あたしが瞬きしているのを見てメイアが告げた。

 「教会のやりそうなことです」

 確かにエレノアさんは、教会の聖女候補生だったけど、あの場にいもしなかったのに?

 あたしは、なんだか腹が立っていた。

 でもあたしのことがバレるよりかはずっとましかもしれない、と思い直す。

 「そんなことより」

 アンナさんが満面の笑みを浮かべる。

 「あたしたちのジャージが完成したのよ!」

 アンナさんが言うには、今度のデューラ・ダンジョン演習に間に合うようにとヨゼフさんとグリエ君が頑張ったらしい。

 「兄さんがダンジョン探索にも通用する丈夫で軽い、動きやすい新しい服ってことで売り出したいんだって」

 そうなの?

 どうやらヨゼフさんは、あたしたちをジャージの広告塔にするつもりみたい。

 つまりあたしたちの班が全員、ジャージでデューラ・ダンジョン演習に参加してそれなりの成果を出すことが望まれているのだ。

 いや!

 このメンバーでダンジョンで成果を出すって?

 無理ですよ!

 「チカ、わかってるよね?」

 アンナさんがあたしの肩に手を置く。

 「新しい商品の命運はあなたにかかってるんだからね!」

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ