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5ー7 治癒魔法

 5ー7 治癒魔法


 ロードスさんは、あたしとマリカさんにすぐに準備をするようにと命じた。

 あたしたちは、包帯と診療所にあるだけの万能薬をかき集めると鞄に入れてそれを肩からかける。

 「準備はできたか?チカ、マリカ!」

 「「はいっ!」」

 あたしたちとロードスさんは、騎士団が用意してくれた荷馬車に乗り込み街道を目指した。

 荷馬車の中には、あたしたちの他にも数人の診療所で働いている神官見習いたちが乗っていた。

 みな、青ざめた表情をしている。

 でも、治癒師は、ロードスさんの他にはいなかった。

 「他の治癒師は?」

 あたしが聞くとマリカさんが首を振った。

 「誰も来れる人がいないとかで・・」

 「エレノアさんたちは?」

 あたしの質問にロードスさんが答えた。

 「大切な聖女様をこんな荒事に巻き込むわけにはいかないんだろう」

 聖女ならこういう時こそ先頭に立って治癒を施すべきなんじゃ?

 あたしは、思ったけど口をつぐむ。

 荷馬車は、すごくがたがたと揺れたけど馬車酔いすることはなかった。

 これからどんな酷い現場に赴くことになるか考えるだけで気分が沈んでくる。

 街道までは、荷馬車で1時間ほどかかった。

 魔物はまだ討伐されてないらしくて辺りは行き交う騎士たちや逃げ惑う人々でごった返していた。

 時々、魔物の咆哮が聞こえて体ががたがたと震えてくる。

 「行くぞ!みんな!」

 ロードスさんが荷馬車から飛び下りるとそれにみんな続く。

 現場は、思っていたより何倍も酷かった。

 炎が所々に上がり、くすぶったような臭いがする。

 辺りには、肉が腐ったような魔物の臭いが漂っていた。

 ロードスさんは、荷馬車の下敷きになっている人に駆け寄ると荷馬車を押し上げようとする。

 叔父さん、力を貸して!

 あたしは、ペンをそっと取り出すと『反重力』と書いた。

 ロードスさんが動かそうとしていた荷馬車がふわふわと浮かび上がっていく。

 ロードスさんは、一瞬、驚くような表情を浮かべるがすぐに下敷きになっていた人に駆け寄ると治癒魔法を施す。

 マリカさんも道端に横たわる怪我人たちの治癒を開始する。

 あたしは、治癒魔法がすぐに必要なわけではない人たちの介抱を他の神官見習いたちとしていた。

 遠くでまだ騎士たちの雄叫びが聞こえ、魔物と戦っているのが伝わってくる。

 恐ろしかったが、目の前で苦しんでいる人たちがいるのだ。

 みな、必死だった。

 「チカ!万能薬をこっちに!」

 ロードスさんに言われて万能薬を持っていくとそこには、壊れた馬車に両足を潰されてしまった若い男の人が横たわっていた。

 ここまで酷い怪我になるとロードスさんの治癒魔法だけでは癒せない。

 ロードスさんは、あたしから受け取った万能薬を両足に振りかけると治癒魔法をかけた。

 男の人が低い呻き声をあげる。

 「痛いよぉっ!」

 「しっかりしろ!」

 ロードスさんは、声をかけながら治癒魔法をかけ続けた。

 ある程度傷が癒されるとロードスさんは、その人をあたしに任せて他の患者さんのところへと移動する。

 あたしは、だいたいの傷が癒えた足に包帯を巻いていく。

 ちらっとマリカさんの方を見るとマリカさんも頑張っているようだった。

 でも、街道にいる怪我人は、まだまだ残されている。

 それどころか増えつつあった。

 魔物と戦っている騎士が数人負傷して運ばれてくる。

 手が足りない!

 その時、耳をつんざくような甲高い音が聞こえて!

 騎士たちの声が聞こえた。

 「魔物が!」

 気がつくとロードスさんの方へと魔物が突っ込んでいくのが見えた。

 「ロードス先生!」

 マリカさんの悲鳴が聞こえる。

 

 

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