5ー5 契約
5ー5 契約
その日は、仮契約として一度、叔父さんに相談してから本契約をすることにした。
ヨゼフさんは、あたしたちに手付金として金貨を2枚づつ支払ってくれた。
あたしは、この世界のお金の価値を知らないし、マリカさんもそれは同じだ。
帰りの馬車の中でメイアに訊ねるとメイアが金貨1枚は、普通の日雇い労働者の1年分の給料であることを教えてくれた。
マジで?
あたしは、ぎょっとしてしまう。
そんな大金を手に入れたこと、叔父さんに叱られはしないだろうか?
ともかく、このお金は、叔父さんに預けてあたしは、代わりにもっと少ない金額をおこづかいとしてもらえたらと思っていた。
教会にマリカさんを送っていってから家に帰ると叔父さんが待っていた。
「おかえり、チカ」
叔父さんは、あたしをリビングに誘うと今日あった話をききたがった。
そこで、あたしは、ルミナ商会のヨゼフさんのこと、ジャージと汗ふきシートのことを話すことにした。
叔父さんは、笑顔であたしの話に耳を傾けてくれると最後にこう告げた。
「その金貨は、チカが稼いだお金だ。チカがよく考えて使いなさい」
ルミナ商会との契約には、叔父さんが立ち会うけど内容には口出しする気はない。
そう、叔父さんは、あたしに話した。
2日後にルミナ商会に叔父さんと契約に行くとなぜか、青いジャージ姿のグリエ君に出迎えられた。
「実は」
グリエ君は、ヨゼフさんに弟子入りしたらしい。
放課後にルミナ商会に通っているんだとか。
あたしは、グリエ君が着ていた青いジャージに興味があった。
「そのジャージ」
あたしは、グリエ君に訊ねた。
「もう、完成したの?」
「ああ、これ?」
グリエ君が説明してくれる。
なんでも伸縮性を再現するために魔物のアラクネの糸で織られた布でジャージを作ったのだという。
「蜘蛛の魔物の糸でできてるの?」
あたしが驚くと叔父さんが頷いた。
「アラクネの糸で作られた織物は、比較的安価でしかも丈夫だからね。ジャージにはぴったりの素材かもしれないな」
仕事が一段落してヨゼフさんが応接室にやってきたので早速、契約を結ぶことにする。
叔父さんは、ヨゼフさんに報酬の支払いとは別に数着のジャージをあたしのために用意することを条件に加えるようにとヨゼフさんに言い、すぐにそれは、付け加えられた。
これで、異世界でもジャージ暮らしができるってもんだし!
あたしは、普段着にできるようにジャージの下に短いスカートのようなものをつけてもらえないかと頼んだ。
そうすればもうハレンチとかいわれないかもしれないし!
ヨゼフさんは、了承してくれて数日後には叔父さんの屋敷にルミナ商会から可愛らしいピンクのジャージが2着届けられた。
もちろん腰の部分にスカートがつけられている。
あたしは、学園の休日には、マリカさんと一緒に教会の診療所の手伝いをすることになっているのでその時、着ていくことにする。
ついでに1着は、マリカさんに差し入れることにした。




