5ー4 アイデア料
5ー4 アイデア料
ヨゼフさんは、ジャージを広げて確認する。
「これは・・デザイン性も優れているし、しかも機能的だ」
ヨゼフさんがあたしの方を見て問いかけた。
「いったいこれは、誰が作られた物なのですか?」
あたしのもといた世界では、普通に使われていたということを説明するとヨゼフさんは、驚愕していた。
「これが普通に流通しているんですか?」
少し黙考していたヨゼフさん。
顔をあげるとあたしに切り出した。
「このじゃーじを私どもの商会で取り扱わせていただくわけにはいきませんか?」
ヨゼフさんは、ソファに座り直した。
「先程、お聞きしていたのですが、体を拭く紙の話なども実に興味深い。ぜひともあなたが暮らしておられたという世界のお話をきかせていただければと思います」
「はぁ・・」
とりあえず、あたしとマリカさんは、汗ふきシートの説明をした。
ヨゼフさんは、黙って聞いていたがやがて一言漏らす。
「それは・・水を含みやすい布を箱に詰め込んで一枚づつ取り出して使えるようにしてみたらどうかな?紙より布の方が安くて手に入りやすいからね」
「では、浸す水も特別なものにしてみては?」
グリエ君が口を挟んだ。
「魔法水なら変化しにくく、長い期間の保存が可能です」
「魔法水か」
ヨゼフさんが目を煌めかせる。
「確かに、魔法水なら変質しにくいな」
ヨゼフさんがグリエ君に向き直る。
「君もアンナのクラスメートなの?」
「はい!」
グリエ君が身を乗り出す。
「王都から最近、このミルカリアの街に来たのですが、王都でもルミナ商会の錬金術師の話は耳にしてました!前々からぜひ一度お会いしてみたいと思っていたんです!」
「もしかして、君も錬金術師なの?」
「いえ、僕なんてまだまだです」
ヨゼフさんに問われてグリエ君が答えた。
「でも、いつかは、あなたのような立派な錬金術師になれたらと思っています」
それから。
しばらくヨゼフさんとグリエ君で話が盛り上がってしまったので、あたしたちは、あたしたちで場所を移して話すことにした。
天気もいいのでテラスにテーブルを出してお茶の続きをする。
「錬金術バカは、兄さんだけじゃなかったのね」
アンナさんが呆れた様子で話す。
あたしとマリカさんは、笑顔でアンナさんの話をきいていた。
メイアは、あたしたちから少し離れた場所に立ってあたしたちを見守っている。
あたしは、メイアにもテーブルにつくように言ったがメイアは、従者なのでと固辞した。
しばらくしてテラスにヨゼフさんとグリエ君がやってきた。
「すまないね、グリエ君とすっかり話が盛り上がってしまった」
ヨゼフさんは、あたしに話があると言ってあたしをもう一度応接室へと案内した。
「いくら兄さんとはいえ、淑女を男性と2人きりにするわけにはいきませんわ!」
そう言ってアンナさんたちも同席する。
ヨゼフさんは、あたしにジャージと汗ふきシートのアイデア料として売り上げの3割を支払うという契約を持ちかけた。
自分のお金ができることは嬉しいけど、正直、これは、別にあたしが考えたことではないし。
考えた末にあたしは、ルミナ商会から支払われる料金を同じ異世界人であるマリカさんと折半することにした。




