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4ー9 グリエ君

 4ー9 グリエ君


 あたしたちは、学園の前で馬車を降りると学園の裏にある普通クラスの校舎を目指した。

 相変わらずざわざわして賑やかな教室に入っていくと待ち構えていたアンナさんが駆け寄ってきた。

 「大丈夫?心配してたんだからね?チカ」

 アンナさんが頬を膨らませる。

 「召喚の時の事故に巻き込まれたって聞いたけど、何も知らされなくって!」

 「ええ・・ちょっと家庭の事情でしばらく休養してたから」

 あたしが言うとアンナさんが吹き出した。

 「家庭の事情で休養なんだ?でも、元気そうでよかった!」

 あたしとアンナさんのやり取りを少し離れたところで聞いていたマリカさんを紹介するとアンナさんがぱちぱちと瞬きした。

 「もしかして診療所に新しく入った聖女候補生?」

 聖女候補生?

 あたしは、驚いてマリカさんを見た。

 マリカさんは、慌てて否定する。

 「と、とんでもない!」

 「でも、治癒魔法の使い手だって聞いてるわよ?」

 アンナさんの話では、治癒魔法の使い手は、とっても少なくて使えるだけで聖女候補生になるんだとか。

 「そうなんだ」

 あたしは、マリカさんに微笑みかけた。

 「がんばってね、マリカさん」

 「は、はいっ!」

 マリカさんが顔をひきつらせている。

 まあ、突然、聖女とか言われたらそうなるかな。

 あたしたちがしばらく雑談しているとスワロウ先生が入ってきた。

 「ほら、みんな、早く席につくように!」

 授業の始まりにスワロウ先生は、あたしたちに向かって大声で告げた。

 「これから来月のダンジョン演習の班分けをする!」

 班は、5人構成。

 あたしたちは、4人目までのメンバーは、すぐに決まった。

 あたしとメイアとマリカさんとアンナさん。

 でも、後の1人が決まらない。

 クラスのみんなは、それぞれ仲がいい子と班を作っていたのでなかなか後の1人が見つからなかった。

 「どうしたものかしら?」

 アンナさんが小首を傾げる。

 「ダンジョン演習ですもの。あまり仲がよくない子とは組みたくないし・・」

 あたしたちが頭を悩ませていると不意に背後から声が聞こえた。

 「すみません・・僕じゃダメでしょうか?」

 振り向くとそこには、くすんだ金髪に分厚いメガネをかけた気の弱そうな男子生徒が立っていた。

 「ダメじゃないかもだけど・・」

 アンナさんがずばっときいた。

 「あなた、誰?」

 「ぼ、僕は、今日、このクラスに編入してきたグリエ・クリスタです」

 男子生徒が答えるとアンナさんがぱっと顔を輝かせる。

 「あなたが、クリスタ子爵家の令息?最近、王都から帰ってきたってきいてるけど、まさかこの学校に編入してくるとはね!」

 アンナさんがあたしたちに説明してくれる。

 「クリスタ子爵家は、代々王家に仕える騎士で、今の子爵も王宮騎士団の騎士をしているのよ!」

 アンナさんがグリエ君に向き直る。

 「あなたももしかして将来は騎士を目指してるとか?」

 「いや、僕は、どっちかというと魔道具師になりたいんだけど」

 グリエ君が気まずげに答える。

 「騎士は、1つ上の兄がなるから。僕は、錬金術を極めてみんながまだ見たこともないような魔道具を作りたいんだ」

 

 


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