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4ー7 提案

 4ー7 提案


 「わ、わたし・・死にたくて・・それで毒を持ち歩いてたの・・」

 マリカさんがとつとつと話し始めた。

 マリカさんの話によるともとの世界でマリカさんは、いじめられていたのだという。

 「最初は、いじめっ子たちに毒を盛るつもりだったの」

 マリカさんは、涙を溢した。

 「でも・・できなくて・・」

 この世界に召喚された日も、マリカさんは、学校に行けずに公園でぼんやりとしていたらしい。

 「もう、死ぬしかないって・・」

 そんな時にこの世界に召喚された。

 「もう、帰れないってきいて、あたし、やっと逃れられるって思った」

 しかも、自分は、『幻獣の女王』というものかもしれないと言われてマリカさんは、生まれて初めて己の価値を見いだしていた。

 「なのに・・あたしじゃなくて別の子が『幻獣の女王』かもしれないってきいて」

 マリカさんは、不安だった。

 もしも、自分が『幻獣の女王』でなかったら?

 この世界でも自分は、価値がない存在とされるの?

 悩んだマリカさんは、あたしとのお茶会で自ら毒を飲むことにしたのだ。

 そうすることでライバルを蹴落とす。

 ただ、それだけのために。

 自ら毒を飲んだ。

 「むちゃくちゃだな」

 叔父さんが怒りのこもった声を漏らす。

 「もし、チカが犯人として罰されていたらどうするつもりだったんだ?」

 「わたしは・・それでもいいと思っていた・・」

 マリカさんが顔をあげてあたしたちを見た。

 「だって!わたしは、それが許されると思ったの!今まで、ずっと苦しんできたわたしなら!甘やかされて、みんなに愛されて、幸せだったあなたの幸福を少しぐらいわけてもらってもいいと思ったの!」

 隣にいた叔父さんやメイア、ダルメスが身じろぎするのがわかった。

 怒りの気配を感じる。

 あたしも。

 ちょっとだけ怒っていた。

 そんな身勝手な理由で巻き込まれてしまったんだ。

 でも。

 それでも。

 完全にマリカさんを憎むことはあたしにはできなかった。

 「どうする?チカ」

 『西の魔女』があたしに訊ねた。

 「この者をどうするか、あなたが決めたらいいわ」

 あたしは、どうすればいいのかわからなくて。

 だって。

 あたしもだけど、メイアは、確実にマリカさんに毒を盛ったと疑われていたし!

 それに、もしかしたら叔父さんだって何か迷惑がかかってたかもしれないし!

 でも。

 あたしにマリカさんを裁くことができるかな?

 マリカさんの言った通り、あたしには叔父さんがいる。

 メイアやダルメスもいる。

 それに比べてマリカさんは、ひとりぼっちだ。

 たった1人で突然にこの世界に召喚されて。

 きっと不安だったに違いない。

 しかも、もとの世界でもいじめられてたし。

 「マリカさんは、もう、もとの世界に戻れないこと、平気なの?」

 あたしがきくとマリカさんは、頷く。

 「もう、この世界で生きていくつもりです」

 「なら」

 あたしは、みんなに提案をした。

 

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