4ー6 異界の毒
4ー6 異界の毒
「そのことなんだけど」
ドアが開いてミランダ先生と小柄な黒髪の女の子が入ってくる。
『西の魔女』の登場に部屋に緊張が走る。
身構える叔父さんとメイア、ダルメスをあたしは、手で制した。
「まずは、あなたが無事でよかったわ、チカ」
幼い姿になった『西の魔女』は、ミランダ先生が運んだ椅子に腰を下ろすとベッドにいるあたしをその星が散ったような藍色の瞳で見つめた。
「それから」
『西の魔女』があたしに頭を下げる。
「助けてくれてありがとう」
丁寧に礼を言われてあたしは、ちょっと照れ臭くて。
ちらっと叔父さんを見ると叔父さんは、真っ赤な幻獣の瞳をしてじっと『西の魔女』を睨み付けている。
「そんなことより、マリカさんに毒を盛った犯人がわかったんですか?」
「ええ」
『西の魔女』は、顔を曇らせる。
「犯人は、マリカ自身だったの」
はいっ?
あたしは、思わず目を瞬く。
「マリカさんが自分で毒をあおったっていうこと?」
「そうよ」
ミランダ先生が頷く。
「彼女のカップから見つかった毒は、この世界にはないものだったの。それでマリカを問い詰めたら自分が毒を盛ったことを白状したわ」
「そんな・・」
あたしは、言葉を失っていた。
どうして?
なんのために?
驚きとショックであたしは、言葉を失くしていた。
「マリカは、どうなるんだ?」
叔父さんが『西の魔女』にきいた。
「当然、死刑だろうな?」
「それは、ちょっとかわいそうなんじゃ?」
あたしは、口を開いた。
「マリカさん以外に毒を飲んだ者はいなかったんだし、不問にしてもとの世界に返してあげたら?」
「それはできない」
『西の魔女』が答えた。
「召喚のおりに帰り道を封じたから、マリカは、もとの世界には戻れない」
あたしは、マリカさんのことを思って胸が痛んだ。
「どうにかして彼女が罪を問われないようにはできないの?」
もう、もとの世界には戻れない。
そう言っていたマリカさん。
そのせいできっと思い詰めてしまったのに違いない。
あたしは、なんとかしてマリカさんの力になってあげたかった。
「マリカさんと話せるかな?」
あたしの問いにミランダ先生が微妙な表情をした。
「マリカは、今、自分の部屋にいるわ。ここに呼んでもいいのだけど・・」
ちらっと叔父さんの方をうかがうミランダ先生。
「お願いします。会って話をききたいので」
そうしてすぐにマリカさんが呼ばれた。
ミランダ先生に連れてこられたマリカさんは、頬がこけて顔色も青ざめている。
「跪きなさい!」
ミランダ先生に促されてあたしの前に跪くマリカさん。
あたしは、マリカさんに問いかけた。
「なんで自分で毒を?」
というか。
なんで異世界に召喚されたときに毒を持ってたわけ?




