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4ー4 夢

 4ー4 夢


 「ならば証をみせよ」

 あたしは、まるで別の誰かのような声で告げた。

 「あたしに忠誠を誓うという証を」

 あたしに言われてミランダ先生は、涙を拭うと立ち上がり短剣を懐から取り出すと長くて艶やかなストロベリーブロンドの髪を持つとざっくりと切り落とした。

 「私は、これよりあなたに仕える騎士となる!だから!」

 ミランダ先生が叫ぶ。

 「どうか!我が祖母を救ってください!」

 あたしは、頷くと『西の魔女』が横たわっているベッドへと近づいていった。

 ミランダ先生は、あたしの足元にひれ伏す。

 あたしは、ミランダ先生の前を横切りベッドの上の『西の魔女』を覗き込んだ。

 苦しそうだった呼吸は、今は、途切れ途切れになり、今にも命は消えてしまいそう。

 あたしは、ジャージのポケットからペンを取り出すと『西の魔女』の上に文字を描いた。

 『蘇り』

 すると。

 文字が虹色に輝くと『西の魔女』の体へと消えていく。

 『西の魔女』の体がびくん、と震えた。

 そして。

 静かに時が戻っていった。

 『西の魔女』の壊れかけていた肉体が戻っていく。

 体が縮んでいく?

 どんどん、時が戻されて。

 ベッドの上の『西の魔女』の閉じられていた瞳がゆっくりと開いてその星が散ったような藍色が見えた。

 「私は・・いったい・・」

 起き上がった『西の魔女』は、どうみても10歳ほどの少女の姿になっていた。

 「おばあ様!」

 ミランダ先生が『西の魔女』に抱きつく。

 泣いているミランダ先生を抱き止めると『西の魔女』は、短くなったミランダ先生の髪を優しく撫でた。

 「ミランダ・・もう、心配はいらない。どうやら、私は、まだ生きられるようだわね」

 あたしは。

 2人が抱き合っているのを遠くから見つめていた。

 自分の記憶じゃないような。

 そんな気がして。

 だんだんと目の前が暗くなってくる。

 あたしは、そのまま、意識を手放した。


 「・・じょおう・・女王よ・・」

 声が聞こえる。

 あたしは、微睡みの中からゆっくりと目覚めた。

 目を開くとそこには、浅黒い肌に金色の髪をした光輝くような美しい男の人がいた。

 「目覚めたか?女王よ」

 「ええ」

 あたしは、返事をした。

 あたしの声は、あたしの声じゃなかった。

 あたしは、起き上がると自分の手を見つめた。

 白い手のひらは、染み1つなくて。

 あたしは、ベッドの上に起き上がると隣に腰かけてあたしを見ている男の人に微笑んだ。

 「夢を見ていたの」

 「夢?」

 あたしは、頷いた。

 「あたし、小さな女の子になってたわ。黒髪に黒い瞳の。とっても可愛らしい女の子」

 「そうなのか?」

 男の人が優しくあたしの髪を撫でる。

 あたしは、ふふっと笑った。

 「とっても幼くって。みんなに守られてたわ。すごく幸せで。あたしは、みんなに愛されていて。あたしもみんなを愛してた」

 あたしは、男の人の頬に触れた。

 「何もかも失いたくない、そう、思っていたの」

 

 「ん・・」

 あたしは、ゆっくりと目覚めていった。

 目を開くと叔父さんとメイア、それにダルメスの顔が見えた。

 「チカ、気がついた?」

 メイアが慌てて飛び退いて走り出す。

 ダルメスは、ぱたぱたと空を飛び回った。

 『女王が!目覚めた!』

 あたしは、辺りを見回した。

 そこは、見覚えのない部屋で。

 大きな窓からは優しい光が差し込んでいる。

 

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