3ー11 2人の女王
3ー11 2人の女王
あたしがキョトンとしているとマリカさんがあたしを睨み付けた。
「あんたみたいなお気楽な人にはわからないでしょうけど、わたしは、とっても立場が重いの。常に『幻獣の女王』として毅然としてなくちゃダメなのよ!」
マリカさんは、ふん、と鼻を鳴らす。
「それに・・もう2度ともとの世界には戻れない。今、ここで成り上がるしかわたしが生き延びる術はないのよ!だから、邪魔なあんたをはめてやったのに!」
「あたしをはめた?」
あたしは、何のことだかわからなくて。
首を傾げているとマリカさんがにやりと笑った。
「いい気味だわ。あんたたちは、この世界にとって最も大切な存在である『幻獣の女王』に毒を盛った重罪人。もう絶対に生きてここから出られないわよ」
それだけ言うとマリカさんは、あたしのマンガ本を持ったままさっさと背を向ける。
「なんのからくりかは知らないけど、せいぜい命乞いの方法でも考えてなさい!」
去っていく足音にあたしは、もう1度だけ首を傾げた。
なんなの?
あたしは、椅子に腰かけるとしばし黙考した。
マリカさんは、邪魔なあたしを罠にはめた、といってたけどなんで?
もしかしてあたしがいなければ彼女が『幻獣の女王』になれるとか?
あたしが悶々と考えていると牢屋の警備の兵たちが慌てた様子でやってきた。
「ほんとだ!『幻獣の女王』の言う通りだ!」
兵士が驚いた様子で声を上げた。
「この連中、どこからこんなものを運び込んだんだ?」
「『西の魔女』様がこの連中に変わったことがあればすぐに報告するようにとのことだったが・・これも報告するべきなのか?」
兵士たちが頭を悩ませているとミランダ先生が背後から現れた。
「どうしたのかしら?」
「ミランダ様!」
兵士たちが飛び退く。
あたちたちの方を見たミランダ先生がすぅっと目を細めた。
「まったく・・油断も隙もないんだから」
「どういたしましょうか?ミランダ様」
兵士たちに聞かれてミランダ先生がふぅっと吐息をつく、
「この連中は、『西の魔女』様が取り調べられるから連れていくわ。牢の中は、片付けておきなさい」
「はっ!」
兵士たちの前を通り抜けてミランダ先生は、あたしたちの入れられている牢へと近づいてくると鍵をあけてあたしたちに牢から出るようにと促した。
あたしとメイアは、ジャージ姿のままだったけどミランダ先生は、顔を背けて見ない振りをしているようだった。
あたしたちは、牢から出されると城の上階へと連れていかれた。
そこは、薄暗い部屋だった。
豪華な家具や調度品に囲まれてはいるがなんだか寒々しい。
まるで、人が住んでいないかのような感じ。
ミランダ先生は、部屋の中央に置かれている天蓋付きのベッドの前で跪く。
「仰せの通り、チカたちを連れてきました」
「ご苦労だったわね、ミランダ。下がっていいわ」
昼間より少しだけ温もりのある声に『西の魔女』がミランダ先生のことを大切に思っているということがわかった。




