3ー6 『西の魔女』
3ー6 『西の魔女』
「『西の魔女』は、危険な女だ」
叔父さんがあたしに話した。
「あれは、目的のためなら手段を選ばない。できるだけチカを近づけたくはなかった」
お茶会の日。
屋敷をでる前に叔父さんは、あたしに『西の魔女』の話をしてくれた。
「この世界には4つの柱がいる。それは、2人の魔女と2人の騎士だ」
2人の魔女。
それの内の1人が『西の魔女』
「彼女は、このミルカリアの街の領主だ」
あたしは、この街を初めて訪れた日のことを思い出していた。
叔父さんは、馬車の窓からお城を見ていたあたしに言った。
『あの城には、怖い魔女が住んでいるんだよ、チカ』
叔父さんは、あたしを見つめると続けた。
「『西の魔女』は、この世界の崩壊を防ぐために『幻獣の女王』を探していたんだ。だから、僕は、チカを自分のもとへと召喚した。『西の魔女』からチカを守るために」
叔父さんは、視線を伏せる。
「『西の魔女』は、『幻獣の女王』の力を利用して世界を救おうとしている。このままではいずれチカは、『西の魔女』の手で召喚されただろう。それぐらいなら僕の手で召喚し手元に置いてこの手で守る。そう思っていたのに」
「おおげさだよ、叔父さん」
あたしは、わざと明るい笑みを浮かべた。
「ただのお茶会にちょっと行ってくるだけだし!それに、あたしには、メイアやダルメスもいるんだよ?」
『そうだ。我がいるのだ』
あたしの肩にのっているダルメスが鼻息も荒く告げる。
『我が何者からも女王を守ろう』
「わたしもいます」
あたしの隣に腰かけていたメイアがそっとあたしの手を握る。
「必ずわたしがお守りいたします、チカ様」
あたしは、こくりと頷いた。
みんながいる。
たとえあの美しい城に住む魔女が相手でも大丈夫。
「しかし」
叔父さんが表情を曇らせる。
「『西の魔女』の城は、幻獣の力を封じる城だ。つまり、我々幻獣の力は、『西の魔女』には、通じない」
あたしたちは、叔父さんの言葉に耳を傾けた。
叔父さんは、眉をしかめる。
「『幻獣の王』との契約によって『西の魔女』は、守られている。我々、幻獣の力では、『西の魔女』を倒すことはできない」
叔父さんは、ダルメスとメイアを見つめる。
「つまり、我々では、あの女からチカを守ることはできない。しかも、僕は、あの城に招かれてもいない。唯一の頼みの綱は、チカ自身の力」
「あたしの力?」
あたしは、考えた。
あたしの力って、何?
なんだかわからない生活魔法のこと?
それとももっと理解できない『幻獣の女王』としての力、とか?
あたしがじっと叔父さんを見つめると叔父さんが思い詰めた様子で言葉を発した。
「できればチカが自分の力で戦うことになるのは避けたい。チカが戦うのは、最悪の事態が起きたときだけ。わかった?チカ」
あたしは、こくん、と叔父さんに頷いた。




