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3ー2 召喚の儀

 3ー2 召喚の儀


 「ねぇ、どんな魔物を従魔にしたい?」

 召喚の儀のため、あたしたち、普通クラスの新入生が講堂の裏にある鍛練場へと向かう途中にアンナが頬をポッと染めて熱心に語るのにあたしとメイアは耳を傾けていた。

 「あたしは、ね、アラクネがいいかな」

 あたしが首を傾げるとメイアがそっと説明してくれる。

 「アラクネというのは、蜘蛛の魔物です」

 蜘蛛の魔物?

 あたしがぎょっとしているとアンナがしゅんとする。

 「やっぱ、アラクネなんてって思ってる?でも、アラクネの糸で織った布はとっても手触りがいいし、伸縮性もあって服を作るのにピッタリなの」

 「服を作るのが好きなの?」

 あたしが訊ねるとアンナが首を振った。

 「あたしは、特に好きでも嫌いでもないかな。でも、兄が服を作るのが好きだから」

 なるほど!

 あたしは、頷く。

 それで糸が採取できる魔物なんだ!

 「アラクネが召喚できたらいいね」

 「うん!」

 アンナは、にっこりと笑ったがすぐに憂鬱そうな顔になる。

 「でも、きっと無理。だって、召喚される魔物は、召喚者の魔力量に比例するから」

 アンナは、はぁっとため息を漏らす。

 「あたしは、魔力が少ないの」

 「そうなんだ」

 あたしが相づちを打つとアンナがちらっとあたしを見る。

 「チカ嬢が羨ましいわ。だって、無属性でも魔力量がすごく多いのでしょう?」

 「でも、あたし、魔力量は、測定できなかったから」

 あたしが言うとアンナが真剣な顔をしてあたしを見つめた。

 「測定不能なぐらい多いってことじゃないの?」

 「そんなわけがないし!」

 あたしは、手をひらひらと振りながら笑った。

 「少なすぎて測定できなかったんじゃないのかな?」

 「そんなことは、ありません!」

 メイアが横から口を挟んだ。

 「チカ様の魔力は、幻獣・・ユニコ、いや、叔父上ほどではないにせよ普通の人間並みということはありません!」

 「そうなの?」

 「はいっ!」

 自信満々で頷くメイア。

 「きっと、すごい従魔が召喚できますよ!」

 鍛練場では、すでに召喚の儀が行われていて普通クラスの新入生たちは、次々と儀式に望んでいた。

 「次、アンナ・プルースト男爵令嬢!」

 「はいっ!」

 スワロウ先生に名を呼ばれて緊張した面持ちでアンナが鍛練場の中央に描かれた召喚の魔方陣へと向かう。

 「がんばって!」

 声をかけるあたしにアンナは、笑顔で手を振った。

 「では、魔方陣の中心に立って」

 アンナが魔方陣の中心に立つと魔方陣がきらきらと光輝きだす。

 ぼん、と音がしてアンナの目の前に小さな青いスライムが現れた!

 「水のスライムだな」

 スワロウ先生が告げるとアンナがスライムを手のひらに乗せてじっと覗き込む。

 「先生!」

 「なんだ?アンナ嬢」

 「やり直しさせてください!」

 アンナがそう言うのを聞いてスワロウ先生は、冷たく答える。

 「ダメだ!次!」

 スワロウ先生があたしたちの方へと視線を向ける。

 「チカ・ヤツハシ・ジークナー公爵令嬢!」

 

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