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2ー10 専属メイド

 2ー10 専属メイド


 メイアは、あたしの専属のメイドになることになった。

 それは、メイア本人の希望だ。

 あたしのために仕えたい。

 そう、メイアは、強く望んでいた。

 グランティスさんの用意したメイド服を身に付けたメイアは、メイドというにはあまりにも幼く思えた。

 「別に、メイドにならへんかってもメイアは、あたしの友だちとしていてくれたらええんやで?」

 あたしがそう言ってもメイアの気持ちは変わらなかった。

 叔父さんは、あたしに仕えたいというメイアの希望をきくとメイアを庭に呼んだ。

 「受けとれ!」

 叔父さんは、メイアに向かって剣を投げ渡すと自分も手にしていた剣を構える。

 鈍く輝く剣は、あたしとミランダさんのときの模造剣ではなかった。

 「叔父さん!何を考えとるん!」

 あたしは、メイアの前に出てかばおうとしたが、メイアがそれを拒んだ。

 「のいてください、チカ様」

 剣を構えるメイアは、あたしに静かに告げた。

 「わたしがチカ様のお役にたてるということをその人に示さなくてはならないのです!」

 「でも・・」

 あたしがためらっているとメイアがにっこりと笑った。

 「大丈夫ですから、そこで見ていてくださいませ」

 あたしは、向かい合う2人から少し離れた場所へと下がった。

 叔父さんとメイアは、じっとお互いを見つめたまま動かない。

 緊迫した時間が流れる。

 先に動いたのはメイアだった。

 メイアは、叔父さんに駆け寄ると高く飛び上がり切りかかった。

 きん、という鋭い音が庭に響いた。

 メイアの剣は、何度も叔父さんに向かう。

 だが、その全てを叔父さんは、片手で受け止めていた。

 叔父さんは、数回、メイアの剣を受け止めるとふっと口許を緩める。

 「なかなかやるな」

 叔父さんがメイアに踏み込んでその剣を弾くとメイアの喉元に剣の切っ先を向ける。

 つぅっとメイアの首から赤い血が流れ落ちた。

 それでもメイアは、一歩も退かなかった。

 「もう、止めて!」

 あたしは、2人に向かって声を上げた。

 叔父さんは、ふいっとメイアに背を向けると手にしていた剣をグランティスさんに預ける。

 「メイア、お前は、チカの従者として一緒に魔法学園に通うんだ。そして、チカを守れ!」

 叔父さんが冷ややかな赤い瞳でメイアを見つめた。

 「それが『幻獣の女王』の臣下の任務だ。命の限り戦ってチカを守れ。いいな?」

 「もちろん」

 メイアが無表情に頷く。

 「この命は、チカ様だけのもの。何があろうともチカ様は、わたしがお守りする」

 こうして、メイアは、あたしの従者として特別に魔法学園に通うことが決まった。

 なんでも貴族の中には、身の回りの世話をする者を共に学園に通わせる者がいるらしく学園側もそれを許しているのだとか。

 「あたし、この世界のこと、あまり知らんから不安やったんや」

 あたしは、メイアに話した。

 「だから、メイアが一緒に学校に通ってくれたら嬉しいわ」

 「わたしもお役にたてるならなによりです」

 メイアがメイドの姿であたしにお茶を給仕しながら微笑んだ。

 メイアは、幼い頃から家族に使用人同様に扱われてきたせいで家事などは、すっかりお手のものだった。

 グランティスさんがいうには、ほぼほぼメイドとして仕事を教えることはないとのこと。

 ちょうどあたしの専属メイドを探していたということもあり叔父さんもメイアがメイドとしてあたしに仕えることを認めてくれた。

 

 


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