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2ー8 呪い

 2ー8 呪い


 叔父さんが男と話している間に、あたしは、女の子の方へと歩み寄った。

 女の子は、叔父さんを見て恐怖の表情を浮かべている。

 「・・あ・・なん、で・・」

 ぶるぶると震えている女の子の体が爆ぜて。

 ギシギシと骨が軋む音が聞こえて辺りが光に包まれたかと思ったらその場に巨大な狼が現れた!

 銀色の美しい獣は、地響きが起きたかのような唸り声を発しながら叔父さんと男の方へと突進していく。

 やばいっ!

 叔父さんの目が血のように赤く輝くのが見える。

 このままじゃ、ただではすまない!

 あたしは、思わず叔父さんの前に駆け出すと両手を広げ叫んだ。

 「やめなさいっ!」

 びくっと銀色の獣が硬直するのがわかった。

 その獣は、その場で凍りついたように動きを止めると震えながら後ずさった。

 「大丈夫。あたしたちは、何もしないから!」

 あたしは、その獣に呼び掛けた。

 獣は、酷く怯えて震えていたがやがて、あたしの方へとゆっくりと近づいてきてそして、前にひれ伏した。

 あたしは、そっとその獣の頭を撫でた。

 「いい子。もう、大丈夫だからね」

 ふっと獣の姿がかき消され、さっきの女の子がその場にしゃがみこんでいた。

 さっきあった人垣が消え、遠くから人々があたしたちを囲んでいるのに気がついてあたしは、叔父さんを振り向いた。

 叔父さんは、へたり込んでいる男に懐から取り出した皮袋を放り投げると冷たく言った。

 「この子は、私が買う。文句はないだろうな?」

 あたしは、女の子の手を掴むと叔父さんの方へと向かった。

 女の子は、なんだかすごく震えてて。

 叔父さんを怖がっている?

 「大丈夫。叔父さんは、あなたに酷いことせぇへんからね」

 思わず田舎のなまりがでてしまってあたしは、恥ずかしくて頬が熱くなる。

 女の子は、あたしを見ていたが、やがて弱々しく微笑んだ。

 叔父さんが上着を脱ぐと女の子にかぶせる。

 「急いで帰ろう。騎士団が出てくると厄介だ」

 あたしたちは、急いで馬車に戻って乗り込んだ。

 馬車の中で女の子は、あたしの側から離れようとはしなかった。

 なんだか野生の獣に懐かれてる感じ?

 叔父さんは、眉をひそめている。

 「お前、名前は?」

 叔父さんにきかれて女の子は、びくっとしてあたしにしがみついた。

 叔父さんは、そんな女の子の様子を見てちっと舌打ちした。

 「名前も言えないのか?」

 「待って!」

 あたしは、女の子を見ると訊ねた。

 「名前は?なんていうん?」

 「・・メイア・・」

 メイアは、ぽつぽつと身の上を話した。

 もともとは、男爵家の娘だったらしいが、生まれてきたときに獣の姿をしていたせいで、母親に疎まれ、使用人同然の暮らしをしていたらしい。

 「それがいよいよ奴隷に売られた、ということか・・」

 叔父さんにじっと見つめられてメイアがあたしにぎゅっとしがみつく。

 「おそらくメイアは、『幻獣の器』だったんだろう。生まれる前に母親が幻獣と接触したせいで『器』であるメイアに幻獣が宿ったんだな」

 叔父さんは、憤慨した様子で続けた。

 「呪いなどではない。むしろ、この子を身籠ってなければ母親は、消滅していた」

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