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1ー11 約束

 1ー11 約束


 あたしたちは、屋敷のサンルームに場所を移して話し合うことになった。

 ミランダさんは、ずぶ濡れの服を着替えて燃えちゃった髪も整えているが、不機嫌極まりない。

 あたしももとのワンピースに着替えて叔父さんの座っているソファの横に腰を下ろしているがなんとも居心地が悪くて。

 「説明してくださいます?ジークナー公爵閣下」

 「まあ、落ち着いて。椅子にかけて話しましょう、ミランダ嬢」

 叔父さんが言うとミランダさんは、どすっと叔父さんの正面にあった椅子に腰を下ろした。

 「で?」

 「実は、この子は、この世界の者ではありません」

 叔父さんがいきなり話し出したのであたしは、ぎょっとしてしまう。

 ミランダさんは、眉をひそめる。

 「続けてください」

 「はい」

 叔父さんは、あたしをちらっとうかがってから話を続けた。

 「私と私の母が以前、この国を追われていたことはご存知でしょう?」

 「ええ」

 ミランダさんが頷く。

 「確か、前公爵様が謀反の疑いをかけられて。でも、それは、疑いが晴れて今では、公爵家を再興なさっているのですよね?」

 「その、追放されていた間に異世界で世話になったのがこの子の家族なのです」

 叔父さんが優しい眼差しをあたしに向けるのでくすぐったくなってしまう。

 「要するに、母は、謀反の疑いをかけられた父が獄死した後、この子の祖父と再婚しました。そして、私たちは、叔父と姪になったのです」

 叔父さんがそっとあたしの手に手を重ねる。

 「血は繋がっておりませんが、私は、この子を本当の家族と思っていますし、この子も私を叔父と慕ってくれています」

 「事情はだいたいわかりました」

 ミランダさんがじっとあたしと叔父さんを見つめる。

 「しかし、なぜ、異世界の者がここにいるのですか?」

 「私が呼び寄せたからです」

 叔父さんがあっさりと話してしまったのであたしは、ちょっとびっくりしていた。

 「なぜ、そんな無茶を?」

 ミランダさんも驚きを隠せない。

 叔父さんは、平然と続ける。

 「あなた方も異世界から『幻獣の女王』を召喚するつもりなのでしょう?なら、私が姪を召喚してもいいのではないかと思いまして」

 叔父さんの話をきいていたミランダさんが目を細める。

 「どこでその話を?」

 「蛇の道は蛇ですよ」

 叔父さんが口角を上げる。

 「ご安心ください。姪のことを秘密にしてくださるなら、あなた方の『幻獣の女王』の召喚のことは私の胸の内にとどめましょう」

 「ちっ!」

 ミランダさんが短く舌打ちをする。

 「しかし、異世界からの渡り人の管轄は、教会では?私には、何も力にはなれませんわ」

 「そんなことはない」

 叔父さんは、ミランダさんに破壊的に魅力がある笑みを浮かべてみせた。

 「あなたには、これからこの子の師となり導く役割をお願いしたいのです」

 叔父さんは、ミランダさんに話す。

 「この子が魔法学園で困ったことに巻き込まれないように守ってやって欲しいのです」

 叔父さんとミランダさんは、しばらく見つめあった。

 そして。

 ミランダさんは、叔父さんの微笑みに一瞬言葉を失いちょっと頬を赤く染めて視線をそらした。

 「わかりました。もしも、無事に入学できた時は、私の庇護下に置きましょう。それでよろしいかしら?」

 「ええ」

 叔父さんは、にっこりと微笑んだ。

 「感謝いたします、ミランダ先生」

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