全体神への結果報告
三人の子供が子供組で幼馴染として成長していく日々を
観察して過ごす内に、色んな意味で感情移入した
最初、熱狂的な信者を増やすための布教活動のために
村社会の中で殺してしまう予定だった
国教の道徳観からしたら、醜い外見で
色々と間違っている悪人として成長してしまった子供にも
それと全体神が目論んでいたというような伝説にするのは
少し無理な事が判明してきたので報告してみた。
「あのー、とても イイ肉い高騰なんですが」
『は? 何? いい肉が高くなった?
なら、村の近くに簡単に狩れる弱い動物を
増やせば、よかろう』
「いや、かんで言い間違えました
あのですねー、とても言いにくい事なんですが」
『なら、言うな。
嫌な予感がするでの、耳が痛い事を言いそうな予感が
ワシが望んでいない事を言いそうな予感が
ワシが聴きたくない言葉を言いそうな事を』
「言わないワケには・・・いきませんよ事実なので
実は・・・ですねぇ
村に伝説として長く語り継がれる
伝説の勧善懲悪物語を創造する事は無理な事が
判明というか確定してしまいましたのでぇ・・」
『何故じゃぁああああああ
この時代の村社会では
どこの小国の小さな村でも神に捧げる生贄として
小国神の与えた道徳観を守らなかった村人を
村社会で大々的に見せしめに残虐に殺して
晒し者にするのは当たり前ぞ』
「いや、でもですね。我が国教の道徳心では
村の皆と一緒に一族同志の信用を大事にするには
身の程をわきまえて謙虚に生きる事が素晴らしい
っていう事を心に植え付けたので
正義の味方な英雄と言っても
派手さが無くて地味な目立たない存在にしか
ならなかったんですよね
何より本人が目立つのが嫌いで
村の子供組全員をガチャガチャと巻き込んだ
群像劇物語となってしまいましたので
多くの人が偉大な伝説の英雄って感じで語り継ぐような
清く正しく美しい正義の味方な人気英雄キャラに
する予定だった子が
目立たないように悪人になる予定の子を
言いくるめて平均的な農村の百姓にしてしまいまして
極悪人による派手な事件も発生する事は無くて
この同じ時代を同じ村の子供組で過ごして
この群像劇のような茶番に参加した数十人が
” そういえば、ワシが若い頃、村に、こんなのがおっての "
と何かの昔話として語るけれど
それを聴いた若い者は、” だから? 何? ”
と年寄りの戯言として聞き流してしまいそうな
誰の心にも刺さらない風化していく物語にしかぁ・・・
成りそうもないんですよぉ
悪人に成って貰う予定の子供も
道徳教育に反抗してもらうはずだったのが
友人となった正義の子に説得されて受け入れてしまい
村の多数派の大人に悪い子と判定されず
自分の発言で首を絞め、不道徳な態度で相手にされなくなり
村八分な状態になっていって逆恨みして村からはぐれて
となるはずだったのが、普通の発言と平凡な態度をするように
正義の子に促されたので
野盗となって村へ復讐を謀って
正義の味方である英雄と対立して成敗される
という感じで
村にとって害悪で不道徳な存在の子悪党が滅ぶ
という全体神が望まれた
勧善懲悪な伝説物語には成らなかったですよね
どうしましょ?」
『まぁ仕方ないか、
村社会を維持するためには謙虚に目立たぬように
農村の皆と一緒に同じ田畑を耕す人生だけが素晴らしい
という世界観に伝説物語は必要無いかもしれんの
” 村の平和を乱した者は、こうなるのだぞ ”
と見せしめの生贄、スケープゴートを作り
その時代を生きた村人と、その子供世代くらいまでは語られて
同じ農村で同じ百姓として生きるために
人の和というものを大事にするためにも
争いの元となるような態度や発言はしないように謙虚に
身の程をわきまえて不平不満は抱えないように
今迄通り、いつも通りの同じ事の繰り返し
退屈だけど平穏な日々を送れる事こそが素晴らしい
そして、村八分や村からの追放を怖れて
一生を産まれた村の中で生きる事だけを望む
そういう生き方を無理やり浸透させなくても大丈夫なのならば
それは、それで良いのであろう。
同じ平穏で穏やかな日々の繰り返しで
その平和の有難味というものが薄れてしまいそうになったら
娯楽として派手に伝説物語を作り上げて
平穏で穏やかな日々を手に入れるために
昔は大変だったという事を思い起こさせるために
全国で娯楽として語り継がれる物語を
流行させれば良いと思うぞ、国民気質を調整するためにの
国教の教訓めいた迷信を拡大解釈しての
こういう国教の道徳や村の掟破りをした愚か者達は
外道な化け物に襲われて苦しむ
神に祈る事により、同じ神を信じる者の中から
化け物を退治して平穏な村の生活を取り戻す存在が現れる
てな大法螺に近いけど面白がって人気が出そうな物語でも
流行させれば良いのであろう。
地味で退屈な玄逸、いや現実から乖離した
派手で煌びやかな物語にすれば、するほどに
多くの人に語る継がれるであろう
実際に外道な化け物のような極悪人が発生して
自分さえ良けりゃ、他の人間なんざ、どうなろうが知らん
という人間が増殖して化け物のような人間が悪意を発生させ
悪意が悪意を呼んで国が荒れ果てると大変じゃからの?
そういう極悪人になる事すらも、謙虚で身の程を弁えていない
浸透した道徳観から外れているから現実に存在する事も無いなら
神の存在を際立たせるための生贄
正しさを証明するための悪とか
肯定するために否定する存在とか
そういう神に捧げる生贄が必要ない群れだけが
国内に存在しているなら
それは、それで良いのであろうの
だがの・・・。しょせんは人間じゃ
自分の強さを発揮するための弱い存在とか
自分の美しさを目立たせるための醜い存在とか
成功して成り上がった自分を誇るために
ずーっと無意味な同じ事の繰り返しをする存在とか
自分の存在を肯定するために否定する存在を
必要とする心が群衆心理の中に
産まれるしまうと思うがのぉ?
まあ、それが国教の教義で
身の程をわきまえた謙虚さは美徳である
という道徳観で発生する可能性が無くくなったのであれば
良いのだがの、どうじゃ大丈夫か?』
「はい、大丈夫ですっ!!」
『大丈夫? 本当に?
伝説的なズバ抜けた天才とか
偉大な正義の味方である英雄を数人、出現させるために
天才とか偉大な正義の味方に成りそこなった
哀れで愚かな ” 成りそこない ” が
神を恨んで悪意をバラ巻くような存在が
大勢、出現してしまうのは仕方ない
と割り切っている小国神みたいな事を・・
言い出したりしないか?』
「しません、しません、自分が楽になるからって
神のような存在を無理やり創るなんてしませんよ」
『そうであるか? まさかとは思うが
伝説の英雄物語を作り上げてみようと思ったけど
やっぱ、つまんねー物語ににしか成りそうにないから
どうでもいいし、どうなろうが知ったこっちゃねーや
などとと放り出したわけでは? あるまいな?
農村の三人組を見捨てたワケでも無いのだよな?』
「そんなワケ無いじゃないですかー
やっぱ完璧な道徳観の清く正しく美しい
謙虚に身の程を弁えて村のために生きる子供が
一人でも子供組の中にいれば
なんとか成ってしまうって事が、わかりましたよ
自意識を与えた村長の子供とかも
自分が所属する一族の掟とか方針の中で
自分なりに考えて先代や先々代の村長と同じように
毎日、毎年、同じ事の繰り返しの中で生きるでしょうからね
たぶん、極端な正義の味方や悪人を作らないように
毎年、国のために税金を物納するために
農村で農作物を作って生きていくんでしょうからねー
子供組で一緒だった同年代の人々と一緒に」
『そうであるか
その村が住民気質が固まった農村社会時代から
AIロボット時代になって、どうなっているかを
戻って観てみて良いぞ。
何が変わってしまって、何が変わったかを
その眼で確かめてみるのじゃの』




