小さな国の神への転生
ある日、住んでいる地域を巨大地震が襲い、津波に飲まれ死んでしまった。
再び意識を取り戻した時、そこには何も無い白い空間が広がり
眼の前には神秘的な空気を纏った存在が立ち語りかけてきた。
「我は世界の全てを統括する全体神
君には、とある小さな国の神、小国神という存在になってもらいます
その小さな国の国民が一人でも神を信じ崇めている間
神として存在する事が、できます
ですが信者が一人もいなくなったら存在は消滅します
当然ですよね、神とは信者がいるから存在しているものですから
なので信者を増やすために日々、精進して下さい
何故とか聴いてきても答えません
全知全能の神である我の意志が決めた事で理由は無いのです。
では、なるべくならば多くの国民にとって
信じるに値する素晴らしき小国神となって下さい」
一方的に語る全体神の存在が、白い神秘的な空間とともに消え
小国の国王らしき人物と、その取り巻きな大臣や貴族らしき人々が視界に入り
国王は国家独立宣言を宮殿大広間のような場所で語っている。
「我が国の国教は唯一神であり、国民は皆、同じ神を信じる信者」
という言葉が、国王の口から発せられた所
その言霊により小国神としての存在として自分が顕現できたようだ。
たぶん一応は、ここにいる人々は
国王になった男が語った言葉に従い国教の信者になったという事らしい。
ぐるっと見回してみると
いかにも王族、貴族といった品格と威厳を重視した身なりの国民が
宣言を語る王様の近くの席に座り
後ろの方、末席と言えるような場所に
商人っぽい金になるなら、なんでもやるって感じのする
少し、品格とか威厳とかは低い腹黒そうな人々が座っている
色んな商人とかいう国民なのだろうか
それらの上級国民らしき人々の前で国王による独立宣言は続く。
「今迄、我が国は大国の植民地でしかなかった
武力制圧が当たり前だった時代に植民地とされ
長年、国を統治していたのは他国の王
その後、国際世論の変化もあり独立国となったが実は経済植民地
国内の所有権に関する法律や商法は、宗主国の大企業が
我が国の資源を安く買い叩き、国民を労働者として安く働かせる
ためだけに制定されたような法律
国内有望産業の企業グループも管理職から経営層まで宗主国の人材
我が国の国民は単純作業や重労働をする底辺労働者でしか無かった
中小企業が集まった同業者団体、農林水産業従事者の同業者協同体も
将来性のある利権は宗主国にいる保守支配層に握られる構造。
我が国の国民は宗主国が制定した労働法により
事実上、奴隷契約のような労働者で搾取され続けてきた。
不平や不満などを抱えても従順に従う事が当然という常識を刷り込まれ
身の程を弁え、己の分を知り、地道に質素に働いて生きる事が全てとされ
そうしなければ非国民や国家反逆者とされ、社会的に抹殺されてきた。
国の制度、法律、各種産業に関する基本政策は
宗主国が専制君主時代に労働者層を管理統治するために
制定された帝国覇権国家時代の遺物のような恐竜の化石のモノだったのだ。
とはいえ
急激な変化を恐れる人心が拒絶反応や混乱を起こさないために
最初は、それらの法律や制度を変えないのが正解であるし現実的であろう
宗主国の支配層に代わって、我等が労働者国民を管理統治するのだ。
だが、しかし、武力戦争、経済戦争と長年に渡って我が国を制圧統治してきた
宗主国の保守支配層も無策なマヌケなワケでは無い。
今迄、統治してきて知りえた国内に存在する色んな権利
国土に眠る地下資源、国家を維持管理するための手法
農地維持、水産資源維持、住民気質
色んな統治に必要な情報は秘匿していて知っているのは宗主国の支配層
正直、我等は自国の事なのに国家運営に関して何も知らないに等しい。
我等と同じように独立を果たしたものの
国家運営統治に必要な情報や方策を知らないがために
国家独立を成し遂げたものの
武力衝突やクーデターが繰り返されているだけな国
経済植民地として、国民の、ほとんどが
元宗主国のグローバル企業の現地法人の社員という名目で
奴隷のような待遇で安い労働力として扱われているだけな国
我が国を、そんな国に貶めたくない
完全なる独立国家とは?
それを我等で一緒に考え、作り上げていこうではないか
そのためには国家運営統治に必要な情報や方策を知り
独立独歩で歩めるようになる事が重要なのだ。」
王様の長い長い演説、とういか国家独立宣言は
結構に長い時間、語られている。
というか、ここに並んで国王の話を聞いている国民の中で
本当に国の事を考えている人間は何人いるのだろうか?
まあ、王様は自分の国、自分の国民という意識があるから
こういう国にしたい。国民は、こうある事が望ましい。
という祈りを言葉にこめるようにして語っている事からも
国の事を考えているのだろう。
国家樹立宣言を大雑把に解釈すると
国民ピラミッドを、こんな感じで構築したいという
王様の構想が見えてくる。
王族、貴族のような国民ピラミッドの頂点に立ち
国家全体を運営をする国民
2段目は地域別、前世で県知事や市長のような
地域統括をする国民
3段目からは政治家のような存在ではなくて
国内有望産業の大企業グループの経営者、
中小企業が集まった同業者団体
農林水産業従事者の同業者協同体の幹部
4段目 3段目国民が管理する団体で働く労働者
5段目 4段目国民が嫌がる植民地時代と同じような
卑しき作業をする底辺労働者
マイルド・カースト制度とも言えるような国民構造ピラミッド
これだと、少しでも差別する側に成りたい
そして競争している人間を差別される側に陥れたい
という差別主義者が発生して色んな社会問題が・・・
とは思ったが、「じゃあ、神よ、どうしたら良いのでしょう」
と聞かれても、実際問題、この国の事を知らない。
なので、まずは、ここに集結した保守支配層や
保守支配層候補の夢枕で、どんな神託を授ければ正解なのか?
それを理解するために国内を探訪してみる事にした。




