冒険者ギルドとゴング・ヘップバーン
遅くなってすみません!
いまだに信じられないがキルドマスターらしいゴングさんに連れられ、さっきの大きな木造の建物、もとい冒険者ギルドまでやってきた。
「では、改めて冒険者ギルドリューネル支部へようこそ、あなた方が自由な冒険を謳歌できるよう冒険者ギルドが精一杯サポートいたします。そう!私のように自由に!」
「最後の一言さえなければ良かったのに‥」
「確か、あなた達はここに身分証明証、つまりギルドカードを作りにきたんだぁーね?」
「そうだった!早くしないと犯罪者になっちゃうので急いで来たんですよ!」
「そーんな急がなくても日没には終わるんだぁーよ」
「良かったー」
「やっと人心地がつきましたね…」
「それでねぇ、カード発行している間すこぉーしお話しさせていただけないかぁーな?」
「何をですか?」
「そーんな身構えなくていいんだぁーよ、すーぐに終わるから」
「待たせている人もいるのでできれば遠慮したいのですが…」
そう言った瞬間今までにないほどゴングさんの目つきが鋭くなった、
「その待たせている'人'もそちらの執事君と同じなのかな?」
「っ!?」
「どういうことでしょうか?」
「さぁーね?まあ、来るか来ないかは君たちにお任せするさ。でもきっと来てくれた方がお互いにとっていいと思うけどねぇ」
ゴングさんはそう言ってギルドの中へと入っていった
「主、先ほどの言葉…」
「ああ、どうしてかは分からないけど、おそらくゴングさんにフロウの正体を見抜かれている」
「こうなってしまうとお話し、とやらに行かざるを得ませんね」
「正直言っていい予感がしないんだよなぁ…」
「腹を括るしかありませんな」
「だなぁ…」
「とりあえずギルドカードの発行の手続きなどを済ませてしまいましょう」
「そうだな、犯罪者になるのだけはごめんだ」
「あそこで手続きを行えるようです」
良かったー、普通の受付嬢もいるんだな全員あの変態受付野郎だったらと思うと…うわぁ
「じゃあパパッと済ましてあの変態、もといゴングさんのとこに行くか」
「そうしましょう」
「すみません、カード発行の手続きをしたいのですが…」
「わかりました。では、こちらの用紙に名前、年齢、種族、職業をお願いします。」
名前はカタカナでリュージと、年齢は20、種族は人でいいのか?それで職業は…テイマーか?いや、魔法が使えるし魔法使いを名乗っておこう。
さてとフロウの方は…年齢 、種族 フェンリル、職業 執事…ツッコミどころ多すぎだろ!!
「おい、フロウ、これじゃまずいって」
「何か間違えていましたか?」
「逆だよ!全部ほんとのこと書いてたらややこしいだろ!」
「嘘も方便、ということですか」
「年齢はだいたい22くらいにして、種族は、それっぽく獣人とか書いとけばいいだろ…よし」
「流石主、嘘をつくのもお手のものですな!」
「褒められた気がしねぇ…よし、これでお願いします」
「はーい、20歳、人のリュージ様と22歳、フロウ様、獣人、とは亜人種族のことでいいでしょうか?」
「あ、そうです!すみません」
獣人じゃない世界線だったか…
「わかりました、ではカード発行をお待ちの間にギルドマスターが呼んでいますので、お部屋へご案内いたしますね」
「無駄にこういうとこはしっかりしてるんだな…」
「観念していくとしましょうか」
「だなあ」
上の階に上がるといかにもな扉があった
「ゴングさん、先ほどのお二方がいらっしゃいました」
「やぁーっときたんだぁーね、入ってきてくれ」
「お邪魔します」
「失礼します」
ドアを開けるとそこには上裸の変態が…いなかった、代わりに反省中と書かれた紙のついたロープで縛られ、地でクネクネしている変態がいた。
「うげっ」
「こんにちは、そして、先ほどは我がギルドの汚点の見苦しい姿をお見せしてしまい誠に申し訳ありませんでした。お詫びと言ってはなんですが門には連絡をしてありますのでご安心ください」
「ありがとうございます!それで…あのーそこに転がっているのは?」
「この変態は秘書である私、アレッサ・カーネルがしっかりと処罰させていただきます。」
「なんかその人喜んでません?」
「何しても喜ぶので諦めました」
「さ、2人ともお話を始めようじゃーあないか!そういうわけだからロープを解いてくれないか?」
「服を着るなら考えなくもありません」
「そうか、ならしょうがない」
「あ、服着ない方が大事なんだ」
「まあ、こっちのことは気にせず座ってくれ」
「ありがとうございます…」
「失礼します」
気にするなって言っても、流石に無理があるだろ!あ、なんかロープちぎったぞあの変態、無駄に身体能力高えなあ…
「さてと、単刀直入に行こうか、君とその執事君はどこから来た何者だい?」
「何者、とは?」
「僕の持っているスキル鑑定の能力で君が常人の4倍ほどの身体能力があって、そこにいる執事君の種族がなぜかフェンリルなのもわかっているからしらばっくれないでいいよ。
もう一度聞く、君たちはどこから来た何者なんだい?ギルドマスターとして君たちのような過剰な力を持ったものを放置するわけには行かないんだよ」
「やはり、そこまで知られていましたか…」
「わかりました、お話ししましょう。
まず、僕たちがどこから来たかですが…地球、という別の星、もしくは別の世界から来ました」
「やっぱりそうだったか!一安心だね」
「そう、なかなか信じられないと…へ?やっぱりとはどういうことですか!?」
「その反応を見るにここが初めて来た街なのだろう?」
「は、はい」
「実はこの世界には異世界から来た、という人が時々いるんだ。今この国の冒険者ギルドに登録している異世界人確か60人くらいじゃないかな?」
「異世界人がそんなに!?」
「ただ、どの異世界人も強力な力を持っていることが多いため見つけたら国に報告する義務があるんだ、それで見かけない異常に強い二人組がいたから僕が追いかけたってわけだ。」
「そうだったんですね、ただの変態かと思ってました」
「僕は有能な変態だからね!それよりそこの、種族がフェンリルの執事君について聞かせてくれないかい?」
「それについては我が説明いたします。我は元々平凡な飼い犬だったのですが、こちらの世界に来る時に神を名乗るものに欲しい力を聞かれ大きくなりたいと我は願ったのです。ですが、こちらに来ると大きな狼に変化しておりいつの間にか種族がフェンリルになっていたというわけです。それでいつの間にか入手していたスキル、人化を使いこの状態になったというわけです。」
「なるほど、よくわかんないけど力を与えられたんだね!にしても人化スキルか…さっき言ってた連れも異世界から?」
「いえ、そっちはこの街の近くの森の地下にあった洞窟で出会った蹴兎という魔物を
「何!?蹴兎だと!アレッサ、今すぐ軍に出動要請とこの街の冒険者に緊急クエストを発注しろ!最悪この街が滅ぶぞ!君たちも討伐を手伝ってくれ!その洞窟には何体ほどの蹴兎がいた!?」
「一体だけ…その一体を狼形態のフロウが一蹴りして」
「何!?一体だけだと?それはおかしいぞ蹴兎は基本30から50匹の群れでいるはず!いや、そもそもあの森にいること自体がおかしいな…それでその1匹は?」
「そいつが人化スキルを使ってフロウに弟子にしてください!って言い出しまして…色々あってテイムしました」
「フェンリルだけでなく蹴兎まで!?流石は異世界人、なのだろうか…そこには間違いなく1匹だけしかいないんだな?」
「はい、かなり大きな音を立てても何もいなかったのでおそらくは…」
「そうか、取り乱してしまい申し訳ない。できればその蹴兎も連れてくれないだろうか?なぜあの森にいたかなど聞きたいことが多すぎる」
「それはいいんですが、ここから少し歩くので深夜になってしまいますよ?」
「この世界では常識なんだがテイマーは契約した魔物を自由に召喚できるんだよ、まあ知らないのも無理はないな」
そんな便利機能が!召喚とかかっけえ〜
「そうなんですか!では早速…召喚、デンドロ!」
「ふぁあ〜〜…ってどこだここ!あ、ご主人に、師匠!これどういう状況っすか!?」
「うわっ。まじで出てきた!」
「こいつが蹴兎…なんだよな?」
「はい、こいつが蹴兎のデンドロです」
「執事君の時も思ったが鑑定以外じゃ亜人と何も変わらないな…鑑定も弾かれたらと思うと恐ろしいな」
「あの…まじでどういう状況っすか?」
「ああ、自己紹介が遅れたね。私はこの冒険者ギルド支部のトップ、ゴングというものだ。今回、君にすこし伺いたいことがあって来てもらったんだ。」
「え、俺なんかしましたか?」
「群れで行動するはずの蹴兎が1人でいたとリュージ君に聞いたので、本人に聞けるのなら本人に聞こうと思ってね」
「あー、なるほど理解したっす。」
「それで君はなぜあの森に1人で?」
「俺今、武者修行してるんっすよ。それであの森にいたら強いのに会える気がしたんであの森にいたっす」
「なるほど。それともう一つ聞きたいんだがいいかい?」
「いいっすよ」
「その君が使っている人化スキルなんだがそれは君以外のどの蹴兎も使えるものなのかい?」
「このスキルは群れでも特別知能の高い5、6匹しか使えないっす。それに、そもそも使う機会がほぼないっす」
「そうか、情報提供感謝する。……さてと!まじめモードはここまでっと」
と、言うや否や、いきなり変態が服を脱ぎ出した
「やーっと終わったーね、色々言ったけどもリュージ君たちは自由にこの世界を楽しんで欲しいんだぁーよ」
「え、ええ。ありがとうございました」
「まあ、何かあったら頼ってくれたまえよ!さて、この後食事でもどうかな?ご馳走させてもらうよ!」
げ、そんなふうに誘われると断りずらい…
変態と飯か…
「お気遣い痛み入ります。ですがデンドロの衣服を買いに行かねばならぬ故我とデンドロはこれにて失礼致します。主はどうしますか?」
「二人だけだと心配だし俺もついてくよ。そういう訳ですので、食事はまたの機会にしましょう。では」
そうして俺らは部屋から出た
「ナイス、フロウ!助かった…」
「主があからさまに嫌そうでしたので」
「え、そんな顔に出てたか?」
「何年も共に過ごした私しか気づかないでしょう」
「ならよかった、失礼なことをするわけには行かないからな」
あれ、もう手遅れな気が…まあいっか!
その頃リュージたちが出て行って部屋では…
「アレッサ、あのフェンリルとあの異様に知能の高い蹴兎を視てどう思った」
「フェンリルの方は平均よりかなり強いようでした、また人型なのを考慮するとかなりの危険度かと、そしてあの蹴兎ですが…あのフェンリルと同等、もしくはそれ以上の実力があるかと…彼らの棲家であれば簡単とは行かずとも、仕留められたであろう彼らに仕えている意図が全くわかりません、それにおそらく…私がスキルで視たのもばれています」
「まさかそれほどの実力とは…最悪の場合あれレベルが数匹いるなら奴の群れはどれほどの力が…
『隠』!出てこい!」
ゴングがそう言うと、三つの影が降りてきた
「はっ!こちらに」
「冒険者、リュージ及びその一行を監視しろ、特に狼と兎の亜人、奴らは人に化けた魔物だ注意しろ。決して見つかるな」
「了解致しました」
そう言って煙のように三つの影は消えた…
「あのレベルの魔物2匹を平然とテイムする男か。
ただでさえ近頃、『海』と『虎』が活発化していると言うのに…ギルド本部と、『七大天』に連絡を」
「わざわざ、七大天にまで連絡を?」
あれは、一個人の勢力が持って良い力じゃ無い。と言っても情報を流しておくだけだ。今はまだ様子見だ」
「わかりました、至急連絡いたします」
「ふぅ、物騒な世の中だ。…敵対させないでくれよ、リュージ」
少し直しました