81話:戦火の中の決意
エリスとレンデがエリスの領地に到着してから数日が経過し、彼らは領地の安定を確認することができた。しかし、静かな日常は束の間の安らぎに過ぎなかった。ある日、エリスは父アルフレッドから衝撃の情報を聞いた。
アルフレッドが部屋に入ってきた瞬間、エリスはすぐに立ち上がり、心配そうな顔で父を見つめた。「父上、どうしたんですか?」
アルフレッドは深刻な表情でエリスを見つめ、重い口を開いた。「エリス、君の兄アレクサンダーが戦争に参加している。500人の部隊を率いて、リーヴァルト王国軍と戦っているのだ。」
その言葉を聞いた瞬間、エリスの目は驚きと焦燥で大きく見開かれた。「お兄さんが…戦争に参加しているなんて!私も行かなければ…!」
エリスは急いでレンデの元へ走っていき、息を切らしながら彼に話しかけた。「レンデ、聞いて!お兄さんが戦争に出ているって!私は参加しなければならないわ!」
レンデは驚きの表情を浮かべたが、すぐに冷静な判断を示した。「エリス、それは大変だ。君が戦場に出るのは危険だし、どうしても行くなら、万全の準備が必要だ。」
エリスは決意に満ちた目をレンデに向けた。「私は行くわ。お兄さんを助けるために、どうしても参加しなければならない。お願い、あなたも一緒に行って。」
その時、アルフレッドが部屋に再び入ってきた。彼の顔には深い憂慮が浮かんでいた。「エリス、君が行くのは危険だ。せめて護衛としてレンデと、屋敷から警備兵を2人連れて行ってはどうか?」
エリスは父の提案に感謝しながらも、頷いて答えた。「はい、父上。レンデと警備兵たちと一緒に行けば、少しは安全が確保できるわ。」
レンデは静かに頷き、エリスに微笑んだ。「僕がついていくから、安心して。警備兵たちも一緒にいれば、さらに安全が確保できるね。」
アルフレッドは、レンデと警備兵たちの決意に感謝しながらも、心配の色を隠せなかった。「君たちが無事に戻ることを願っている。戦場は厳しい場所だ。しっかりと気をつけて、行ってくれ。」
エリスは父に深くお辞儀をし、決意を新たにして準備を整え始めた。彼女の心には、戦場での危険を乗り越え、家族と領地を守るために戦う強い意志が宿っていた。
レンデは、エリスのそばで支えとなりながら、彼女が戦場でどのように立ち回るべきかを考え、万全の準備を整えていった。