75話:霊薬の試練と成長の兆し
火山近くの祠の中、エリスとレンデは鍛錬の合間に静かなひとときを過ごしていた。日差しが強く、祠の内部は湿気と熱気で重苦しい空気に包まれていたが、エリスは鍛錬の成果を感じながらも、疲労感と達成感が交錯していた。
レンデはエリスの前に座り、彼女が霊薬を飲む準備を整えているのを見守っていた。エリスは、少し緊張した面持ちで霊薬を手にしている。
「レンデ、もう一週間が経ったわね。」エリスは鍛錬の合間に息を整えながら、感慨深い表情で言った。「私、少しずつだけど、力がついてきた気がする。」
「エリス、もうすぐ試す時が来るね。」レンデは優しく声をかけた。
「うん、レンデ。自分でも少し不安だけど、これで少しでも力をつけられたらいいなと思って。」エリスは真剣な表情で答えた。
(レンデ、エリスの魔力の底上げにはこの霊薬が効果的だ。だが、あまりに強くなりすぎると、逆に体に負担がかかるかもしれない。注意して見守るんだ。)ヘルミオの声がレンデの頭の中に響いた。
「少しずつ慣れていくことが大切だよ。」レンデはエリスに説明しながら、彼女の肩に手を置いた。「霊薬の力を借りることで、魔力の底上げができるけど、無理をしないようにね。」
「はい、わかってるわ。ありがとう、レンデ。」エリスは微笑み、霊薬の瓶を開けた。中身は透明で、わずかに青白く輝いていた。
エリスは少し躊躇しながらも、霊薬を一口含んで飲み干した。飲んだ瞬間、彼女の体が少し震えるのを感じた。
「どう?変化は感じる?」レンデは心配そうに聞いた。
「うん、ちょっと体が温かく感じるわ。」エリスは首を振りながらも、少しずつ顔に色が戻ってきた。「でも、これからが本番だと思う。」
(レンデ、エリスの魔力はこれで一時的に増加するが、根本的な底上げには時間がかかる。彼女が新たな魔力の流れに慣れるまでは、注意深く見守ること。)ヘルミオの声がレンデの頭に再び響いた。
「わかった、ヘルミオ。しっかり見守るよ。」レンデはエリスに向き直り、彼女の変化を観察しながら言った。
エリスは深呼吸をして、体の中で変化を感じ取ろうとした。彼女の魔力の流れが徐々に整い、以前よりも力強くなっているのを感じた。
「レンデ、なんだか体が軽く感じる。」エリスは興奮気味に言った。「これなら、少しは役に立てるかもしれないわ。」
エリスは息を整えながら、感慨深く言った。「私、お腹の底に以前よりもはっきりと大きな魔力を感じるの。これ、確実に成長しているってことだよね?」
「その調子だよ、エリス。」レンデはにっこりと微笑んで答えた。「明日の試練が楽しみだね。」
エリスはその言葉に頷き、心の中で新たな目標を立てる決意を固めた。