７４話：魔力の伝授と鍛錬の刻
エリスとレンデは、火山近くの祠の中で鍛錬を始めた。外の暑さとは対照的に、祠の内部は比較的涼しく、心地よい静けさが広がっていた。レンデはエリスに背中に手を当てて、魔力の流し方を教えていた。
「エリス、まずはリラックスして。肩の力を抜いて、深呼吸してごらん。」レンデは優しく指示しながら、エリスの背中に手を置いた。
エリスは頷き、少しずつ呼吸を整えながら体をリラックスさせた。「うん、わかったわ。リラックスするのは難しいけど、頑張るわ。」
「いい感じだよ。」レンデは微笑みながら言った。「今度は、僕の手のひらから魔力の流れを感じ取ってみて。手のひらを通して、魔力がどう流れるかを掴むんだ。」
エリスはレンデの手のひらの温かさを感じながら、魔力の流れを意識しようとした。「レンデの手が温かい…それが魔力の流れに関係しているのね。」
（レンデ、エリスの魔力の流れがまだ不安定だ。彼女の体が魔力の流れを感じ取るのに少し時間がかかるだろう。）ヘルミオの声がレンデの頭に響いた。
「その調子だね。」レンデはエリスの背中を支えながら、手のひらから魔力の流れを伝えた。「魔力を体の中心に集めることから始めよう。呼吸に合わせて、魔力を感じて。」
エリスはレンデの言葉に従い、呼吸を整えながら魔力を感じ取ろうと努力した。「体の中心に魔力を集めるのは難しいけど、少しずつ感じられるようになってきたわ。」
（エリスが魔力の流れを感じ始めているのは良い兆しだが、安定させるにはまだまだ時間がかかるだろう。さらに具体的な指示を出すべきだ。）ヘルミオの冷静な声が続いた。
「その調子だよ。」レンデはエリスの背中に手を置き、魔力の流れを調整しながら説明を続けた。「魔力を集めて、イメージしてみて。君が魔力を思い通りに操れるようになるためには、練習が必要なんだ。」
エリスはレンデの手の感触に支えられながら、徐々に魔力の操作方法を理解していった。「レンデの手の温かさが、魔力を感じるのに役立っているのね。これで少しずつできるようになりたいわ。」
「そうだね、エリス。」レンデは微笑みながら言った。「君が魔力をコントロールできるようになれば、どんどん実力がついていくよ。焦らず、一歩一歩進めていこう。」
（エリスが魔力の流れを把握し始めているのは良い兆しだが、実戦での使用にはまだまだ時間がかかる。鍛錬を続ける必要がある。）ヘルミオは冷静にアドバイスを続けた。
「これで少しずつ力をつけて、戦闘でも役立てるようにするわ。」エリスは決意を込めて応じた。「レンデ、ありがとう。あなたのおかげで、魔力の感覚がわかってきた。」
「君の努力だよ、エリス。」レンデは優しく答えた。「まだまだこれからだけど、一緒に頑張ろう。」
その夜、エリスとレンデは鍛錬を続けながら、静かな祠の中で未来に向けた希望を胸に、さらなる努力を誓い合った。
