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63話:王都からの脱出

まだ夜が明けぬうちに、レンデとエリスは王都の外に出る準備を整えた。レンデは軽装で、4日分の携帯食料と水、雨をしのぐ外套、そして短剣を持っていた。エリスも、必要最低限の荷物をまとめていた。


「急ごう、エリス。」レンデは低い声で言った。「できるだけ目立たずに、安全に領地へ向かわないと。」


エリスは静かに頷き、二人は王都を出発した。初めは街の外れの道を選び、人目につかないように進んでいった。昼間はできるだけ静かに、夜になると隠れる場所を見つけて休息を取る方法を採った。


道中、二人は道端の宿屋や村で情報を集めることも忘れなかった。小さな村に着くと、レンデは宿屋の主人に話しかけた。


「最近、王都からの動きで何か変わったことはありますか?」レンデはさりげなく訊ねた。


宿屋の主人は少し考え込みながら答えた。「王都の方で兵士たちがよく通るようになって、何か大きなことが起きるかもしれないと話している人が多いね。特に最近は、軍の動きが活発になってきたみたいだ。」


レンデはその情報を胸に刻み、エリスと共に引き続き急いで領地へ向かう決意を固めた。


数日後、ついにエリスの領地が視界に入ってきた。エリスの家族が支配する広大な領地は、美しい自然に囲まれており、王都とは対照的に静かで落ち着いた雰囲気が漂っていた。牧草地や森林が広がり、安全な避難場所として理想的な環境だった。


エリスはほっとした表情で広がる景色を見渡し、「ここが私たちの領地よ。ここなら、しばらくは安全に過ごせるはず。」と言った。


エリスの家族は二人を温かく迎え入れ、彼らの到着を心から歓迎してくれた。エリスの父は真剣な表情で話を聞き、レンデに保護を約束してくれた。


「戦闘の結果はまだ王都から届いていないようだが、ルーメリア軍が潰走したという情報は未確認だ。だが、ここでの保護は確約する。」エリスの父は深い考慮の末に言った。


レンデはその言葉に安堵し、感謝の意を示した。「本当にありがとうございます。ここでしばらくお世話になります。」


エリスの家族は、レンデとエリスの安全を最優先に考え、領地内での生活を整える手助けをしてくれた。レンデとエリスは、リーヴァルト王国の軍の動向や王都の状況を見守りながら、今後の計画を立てるための準備を進めることになった。

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