60話:魂の収集
戦場の霧が深く立ち込める中、レンデは丘の頂上から戦場を見守り続けていた。騎士団の壊滅により、ルーメリアの魔法兵団が敵国の騎士たちに次々と倒されていく光景が展開されている。突然、霧の中から複数の光る魔法の玉が飛び出し、ルーメリアと敵軍の中に消えていった。
「な、なんだ?」レンデは目を見開いた。魔法の玉は、空中で細かい光を放ちながら進み、地面に着弾すると同時に強烈な光とともに爆発した。その周囲では、黒い地面が次第に広がり、地面がまるで生きているかのように動き始めるのが見えた。
レンデはその光景を凝視しながら、ヘルミオに尋ねた。「これが…魂の収集と関係があるのか?」
ヘルミオの声が冷静に答えた。「どうやら、この魔法の玉は、霧の中で隠された不穏な術の一部だろう。魔法の玉が着弾した地面が黒くなり、物が吸い込まれていくのは、恐らく魂を収集するための魔法が使われている証拠だ。おそらく、この地面の変色や吸収の効果が、魂の集積を行うためのものだろう。」
レンデは、黒く変色した地面に目を向け、転がっていた死体や倒れた馬が次第にその黒い地面に吸い込まれていく様子を見ていた。死体や馬が地面に接触するやいなや、黒い地面がそれらをぐんぐんと引き込んでいく様子は、まるで何かの生き物がそれらを呑み込むかのようだった。
「このままでは、戦場に残されたもの全てが黒い地面に吸い込まれてしまう…」レンデは心の中で思った。霧の中での戦闘が続く中、この不気味な現象がさらに戦場に恐怖と混乱をもたらしている。




