59話:ルーメリア騎馬騎士団
戦場は朝霧に包まれて、視界がほとんど利かない状態になっていた。ルーメリアの騎士団が、勇ましく突撃を開始する。しかし、霧の中では地形が見えにくく、敵の罠に気付くことが難しい。
レンデは丘の頂上から、その混乱を見守っていた。騎士団が進軍を続ける中、彼の目には次第に戦場の様子が明らかになってきた。霧の中、視界が不明瞭なため、進軍するルーメリアの騎士団の動きがだんだんと不安定に見える。
その時、突如として地面が崩れ、騎士団が目の前に広がる広大な落とし穴に突っ込んでいくのが見えた。霧の中で発見されていなかったこの罠が、突撃をかけた騎士団に襲いかかる。騎馬の蹄音が突然止まり、驚愕の叫び声とともに、騎士たちが次々と落下していくのが耳に入ってきた。
「何だ、あれは…?」レンデは目を見開いて、その光景に息を呑んだ。落とし穴の幅は広く、深さもかなりあるようで、霧の中に落下する騎士たちの姿が次々と消えていくのが見えた。騎馬の蹄が空中に浮かび上がり、そのまま地面に吸い込まれていく様子は、まるで地獄の底へと引き込まれるようだった。
ヘルミオの声が冷静に響いた。「これが敵の罠か。落とし穴は非常に効果的な仕掛けだ。ルーメリアの騎士団の突撃を誘い込み、彼らを戦力から削ぐために用意されたものだろう。」
レンデはその場で動けずにいた。騎士団の壊滅的な状況に心を痛めながらも、自身の安全を確保するために隠蔽の術をより強化し、目の前の状況を把握し続けた。霧が戦場を包む中、レンデは敵の罠や戦術がどのように展開されているのかを詳細に観察し、必要な情報を収集するために集中していた。
落とし穴に騎士団が次々と落下し、戦場に広がる混乱がさらに激化していた。霧の中で目立つ光景が次第に明らかになっていく。ルーメリアの騎士団が壊滅的な状況に陥ると、その後ろに続く魔法兵団が無防備な状態で取り残される。
レンデは丘の頂上から、霧の中の戦場をじっと見守っていた。彼の目には、騎士団の落下によって戦線が崩れ、敵国の騎士たちがその隙を突いて魔法兵団に猛攻をかける様子が鮮明に映っていた。霧の中での戦闘は視界が悪く、魔法兵団の魔法の光だけが頼りだったが、それが逆に敵にとっての目印となってしまっていた。
「見ろ、魔法兵団が孤立してしまっている。」レンデは息を呑みながら、ヘルミオに語りかけた。
ヘルミオの冷静な声が頭の中で響く。「騎士団の壊滅により、魔法兵団が防御を失い、敵にとって格好の標的となっている。魔法兵団の数は騎士団に比べれば少ないが、彼らの魔法が敵に対して大きな脅威となる可能性がある。それゆえ、敵も全力で彼らを排除しようとしているのだ。」
レンデは木々の隙間から視線を走らせ、無防備になった魔法兵団が敵の騎士に次々と倒されていく様子を見ていた。魔法兵団はまだ魔法を放って抵抗を試みていたが、敵の騎士たちの猛攻に押され、ついにはその数を減らしていく。
「彼らの防御は崩れ、抵抗も虚しくなるだろう。」レンデは心の中でつぶやいた。「このままでは、魔法兵団が全滅してしまう。」
魔法兵団の周囲では、霧の中で激しい戦闘が繰り広げられ、魔法の光が散り、騎士たちの金属の音が響き渡っていた。レンデは冷静さを保ちつつ、引き続き情報収集を続けた。霧の中での混乱が続く中、魂の収集に関する手がかりを掴むために、彼は目を凝らし、戦場の全体像を把握しようと努めていた。




