５４話：騎士団の備蓄と街の混乱
レンデはエリスの寮の部屋にある体に意識を戻し、カワラヒワに憑依した潜入を終えた後、
二日後、レンデとエリスは、王宮での情報を基にした調査を続けていた。王宮での会話が現実の問題にどのように影響しているのか、街の様子を見ながら確かめる必要があった。
エリスとレンデは、市場での混乱と物資不足の状況を観察するために街へ向かった。市場の広場に到着すると、二人はすぐにその混乱ぶりに気づいた。人々は不安げに商品を探し、露店の前には長い列ができていた。
エリスが、レンデに向かってつぶやいた。「レンデ、見て。物資がどんどん売り切れているわ。特に食料品が足りないみたい。」
レンデは周囲を見渡しながら答えた。「うん、確かに。騎士団の備蓄が進んでいるということは、戦争の準備が着々と進んでいる証拠だね。物資が不足しているのは、その影響だろう。」
エリスがさらに話を続けた。「市民たちもかなり不安になっているわ。市場の混乱が続いているし、これからどうなるか心配だわ。」
レンデは深く考え込みながら、周囲の情報を集めることに集中した。「調査官や魔術師の目的が魂の収集だとしたら、戦争を引き起こすことで混乱を生み出し、その中で魂を集めるつもりなんだろう。でも、私たちにはその動きを直接止める力はない。」
エリスは少し考え込みながら言った。「でも、もし私たちがこれを外部に知らせようとしても、スパイ行為や反逆罪になってしまうわ。王国の内部事情を外に漏らすのは、非常に危険なことだから。」
二人は街を歩きながら、商人や市民たちと話し、どの物資が不足しているのか、どの地域が特に困っているのかを確認した。商人たちは物資の供給が困難になっていることを訴え、市民たちは日常生活に支障をきたしていると語っていた。
その日の午後、レンデとエリスは学校の近くを歩いていた。学校の校舎の壁や塀が古びて修理が必要であることに気づき、修理が優先されるべきだと判断した。最近の状況で、もしも学校が防御の役割を果たす必要がある場合、校舎や塀の修理が急務であると考えたのだ。
