５２話：王と調査官
レンデはカワラヒワとして王宮の窓にとまり、内部の様子を注意深く観察していた。彼の小さな体は静かに窓辺に留まりながら、王の間に設けられた政務室のような部屋の中を見つめていた。
部屋には、先日自分たちの寮を訪れた調査官が立っており、彼の厳格な服装がその職務の重要性を示していた。調査官の横には、一人の黒いローブをまとった魔術師が控えており、その神秘的な存在感が部屋の雰囲気を一層引き締めていた。部屋の奥には、王らしき人物が座っており、その威厳と傲慢さが彼の地位を物語っていた。
レンデはカワラヒワの視点で、これからの情報収集が重要だと感じながら、耳を澄ませて彼らの会話を聞こうと努めた。
調査官が、慎重な口調で話し始めた。「陛下、お時間をいただきありがとうございます。最近の調査結果について報告させていただきます。」
王は、調査官の言葉を聞きながら、わずかに眉をひそめていた。「ふん、また何か問題が起きたのか？ それとも、私の時間を無駄にするためにここに呼ばれたのか？」
調査官は少し気圧されながらも、敬意を込めて応えた。「いえ、陛下。実際には、王宮内外でいくつかの不審な動きが確認されました。そのため、詳細な調査を行う必要があります。」
黒い魔術師が、少し控えめに口を挟んだ。「おっしゃる通りです、陛下。特に魔法の痕跡がいくつか見つかっており、それが潜入者の存在を示唆しています。私たちはその魔法の源を特定し、対処する必要があります。」
王は椅子に深く腰掛け、傲慢な口調で応じた。「魔法の痕跡だと？ 私がそんな小さなことに気を取られている暇はない。私の王国に対する挑戦に対して、もっと直接的な対策を講じるべきだろう。君たちが調査して、どうにかするのが当然ではないのか？」
調査官と魔術師はその言葉に従い、頭を下げて応じた。調査官が、少し声を震わせながら答えた。「はい、陛下。私たちがすぐに対応策を講じ、情報を集めます。」
魔術師も、深く頷きながら言葉を続けた。「その通りです、陛下。魔法の調査を進め、すぐに報告いたします。」
王は満足げに頷き、これで話は終わりだとばかりに手を振った。「では、任せた。私には他にやるべきことがあるので、君たちはきちんと処理しておけ。」
