45話:王宮潜入
レンデは静かに目を閉じ、自分の意識をネズミに乗せる準備を整えていた。彼の肉体はベッドに横たわり、深い眠りに落ちているかのように無防備な状態だ。エリスがその体を守るために、部屋の中に残り、慎重に周囲を見守っていた。
レンデの意識がネズミに入り込むと、彼はその小さな体で王宮の内部を探検することになった。ネズミの視点から見た王宮の景色は、巨大な石壁と煌びやかな装飾が施された長い通路や階段で構成されている。倉庫から這い出したネズミは、食堂を通り、通路を進み、大広間へと向かった。巨大な広間には、宴が開かれることもあるが、今は静まり返っている。
「ここに魔法使いの姿はないか…」レンデの意識はネズミを操りながら、少しでも怪しい気配を探そうとした。前の間、謁見の間と進むが、目立った魔法使いの姿は見当たらない。王宮内部は広大で、魔法使いが隠れている可能性も考慮しながらも、彼は慎重に探索を続けた。
その頃、寮内では、突然の訪問者が現れた。王宮からの調査官が、寮生の生活を確認するためにやってきたのだ。調査官は、厳しい顔つきで寮内を歩き回り、各部屋を確認していく。レンデの部屋にも近づき、ドアを開けて中に入ろうとした。
エリスは、心臓が激しく鼓動するのを感じながら、調査官の動きをじっと見守っていた。彼女は自分の息をひそめ、少しでも気配を感じ取られないように注意を払いながら、レンデの体を守り続けた。調査官がレンデの部屋に踏み込んでくるその瞬間、エリスの緊張はピークに達した。彼女の目は調査官の動きに釘付けになり、その行動がレンデの運命にどれほどの影響を与えるかを見守っていた。
一方、ネズミの視点で王宮を探索していたレンデは、調査官の到着の知らせを受け取る方法がなかったが、彼の心の中での焦りが募っていた。王宮の内部には、まだ何か重要な手がかりが隠されているはずだと信じていた。