43話:霊薬の効果
秋の風が吹き抜ける寮の一室、レンデは一心不乱に特訓を続けていた。天井の高い部屋の隅に積み重ねられた薬草や精製された素材が、霊薬の調合の成果を物語っている。レンデは、部屋の中に漂う魔力のエネルギーを感じながら、集中して魔力の凝縮と制御を行っていた。
彼の魔力は、これまでにないほどに濃密で、まるで熱を帯びた岩のように固まっている。しかし、限界に達しようとしていた。精度も練度も向上し、あと一歩でRANK5の境地に到達できるところまで来ていたが、どうしてもその壁を越えることができなかった。
レンデが手にしている霊薬は、彼の努力の結晶であり、すべての魔力制御の技術と知識を注ぎ込んで調合したものだった。濃い緑色の液体が瓶の中で静かに揺れている。その液体には、魔力の強化と突破を助けるための様々な成分が含まれており、レンデの魔力の限界を突破するための最後の手段として用意された。
レンデは深呼吸をし、静かに霊薬を瓶から注ぎ口に運ぶ。彼の心臓は高鳴り、手はわずかに震えていたが、覚悟を決めて霊薬を一気に飲み干した。
液体が喉を通り、体内に広がる感覚が伝わってきた。瞬時に、レンデの体が熱くなり、血液が流れる感覚が強まった。霊薬の成分が体内で反応し、魔力が一気に暴れ出し始める。彼の周囲に漂う魔力が急激に変化し、エネルギーが渦を巻くように感じられる。
霊薬が体内で溶け込むと、レンデの魔力が急激に増幅し、体全体が力を得たような感覚に包まれた。彼は地面に膝をついて、その感覚に耐えながらも、心の中で冷静さを保とうとした。魔力が体内で旋回し、さらに凝縮されていくのを感じながら、レンデはその力を制御しようと必死だった。
しかし、魔力の暴走が続く中で、レンデはそのエネルギーを抑えきれずに、部屋の中で小さな爆発音が響いた。魔力の暴発が引き起こした衝撃で、部屋の一部が崩れ、周囲に魔力の痕跡が広がっていた。レンデの体はその強烈なエネルギーの波に飲み込まれながらも、彼は何とかその力を収束させようと奮闘していた。
時間が経つにつれ、魔力の暴走が収まり始め、レンデの体が次第に安定してきた。彼はようやく、自分の魔力がRANK5のレベルに達したことを実感することができた。周囲のエネルギーの変化と、自身の体内での魔力の流れが、彼にその証を示していた。
レンデは疲れ切った体を起こし、鏡で自分の姿を確認する。彼の瞳には、以前とは異なる深い輝きが宿っており、魔力のエネルギーを強く感じることができた。RANK5の壁を超えたことで、彼の魔力は新たな段階に突入し、その威力と精度が一段と向上したことを実感していた。
翌日、レンデは特訓を終えた後、成功を確かめるために一連の試練を行った。彼は、その新たな力を駆使して、見事に成果を確認することができた。特訓の成果が明確に表れたことで、彼は次なる目標に向けての準備を整え始めた。
レンデの心には、RANK5に到達したことで得た自信と、新たな挑戦への期待が満ちていた。