40話:力不足
秋が深まり、木々の葉が鮮やかな色に染まる中、レンデは王宮の闇の力に対抗するための新たな特訓に取り組む決意を固めた。王宮内の闇の魔術師が、王の側近や政務に関わる位置にいるという可能性が高いことを考えると、確実な証拠を得るためには、さらに強力な力が必要だと痛感した。
「RANK4では、この王宮に潜入するための力が不足している。」ヘルミオは言った。レンデの目は決意に満ちていた。
「レンデ、ネズミを使役して潜入し、情報を探るためには、RANK5の力が必要だ。これからの一ヶ月で、その力を手に入れる。」
レンデは微笑みながら頷いた。
ヘルミオは続けた、
「そして、RANK5に到達するためには、今まで以上に集中し、魔力の練度を高める必要がある。お前の努力次第では、目標に到達するのも難しくないだろう。」
レンデは、秋の風が心地よく吹く寮の庭にある特訓場に足を踏み入れた。そこは静かな場所で、特訓に最適な環境が整えられていた。ヘルミオと共鳴しながら、魔力の練度を高めるための特訓が始まる。
レンデは、まずは魔力の流れを整えるための基本的な練習を繰り返した。彼の体内で魔力が循環し、徐々にその量と速度をコントロールできるようになってきた。次に、腹の底で魔力を回転させる練習に移る。魔力を凝縮し、手から出力するためには、膨大な魔力量と高い精度が求められた。
「魔力の凝縮は、単なる量の問題ではない。」ヘルミオは丁寧に教えた。「力を正確に、かつ効率よく扱うためには、魔力の感覚を深める必要がある。集中力と持続力が試されるぞ。」
レンデは汗だくになりながらも、必死にその指示に従った。彼の体力と魔力は徐々に強化されていき、特訓の成果が少しずつ見え始めた。魔力の精度を高めるために、毎日の訓練が続けられ、レンデは毎晩、ヘルミオの指導を受けながら技術を磨いていった。
10月の終わりが近づくにつれて、レンデは自分の魔力をさらに強化するための最後のステップに取り組む準備を整えていた。それは、RANK5の壁を越えるために必要な霊薬の調合だった。ヘルミオの指導のもと、レンデは霊薬に必要な材料を市場で集めることから始めた。
レンデは、昼間の混雑した市場を避けるために、早朝に市場に足を運んだ。市場には様々な店が並び、薬草や珍しい素材が所狭しと並んでいた。レンデは、リストに書かれた材料を確実に集めるため、各店を周りながら慎重に材料を選んでいった。