３８話：チャンス到来
秋の収穫祭の喧騒が続く中、レンデとエリスは予想外の困難に直面していた。警備の増援が呼ばれた理由は、彼らが潜入中に発生した別の喧嘩によるものだった。警備が一時的に分散したこの隙を突くことが、レンデとエリスの唯一のチャンスとなった。
「レンデ、見て！警備がいなくなっているわ！」エリスが小声で言い、レンデの肩を軽く叩いた。彼女の目は希望に輝いていた。
レンデはその言葉に反応し、周囲を見渡して状況を確認した。警備が分散している間に、彼らが通ることができる通路が見つかった。
「これはチャンスだ。」レンデは冷静さを取り戻し、エリスにうなずいた。「急ごう。通路に入って王城への抜け道を探すんだ。」
二人は静かに動き出し、警備のいない横の通路へと進んだ。心臓が高鳴りながらも、彼らは慎重に足音を忍ばせ、通路の奥へと向かっていった。
通路の奥には、王城への秘密の抜け道が待っていた。通路は薄暗く、わずかにひんやりとした空気が流れていた。レンデはヘルミオから教わった抜け道の位置を思い出し、地図を確認しながら進んでいった。
「この道が王城への直通ルートのはずよね。」エリスが小声で言った。彼女の声には緊張と期待が混じっていた。
「そうだ。ここを通れば、王城の中に入り込むことができる。」レンデは決意を込めて答えた。彼の心には、エリスと共に成功させるという強い意志が宿っていた。
通路は曲がりくねっており、時折不安な音が響いていたが、二人は恐れずに進んでいった。通路の先にある扉が見えてきたとき、レンデの胸は高鳴り、エリスも息を呑んでいた。
扉を静かに開けると、王城内の秘密の部屋にたどり着いた。そこには、古びた家具と書類が散らばっており、王城の歴史を感じさせる空間が広がっていた。
「ここから先は慎重に進もう。」レンデはエリスに言い、静かに部屋の中を調べ始めた。エリスもその指示に従い、二人は共に慎重に行動しながら、王城内の目的地へと向かっていった。
