３１話：新学期のはじまり
夏休みが終わり、レンデは再び学校の寮に戻ってきた。新学期が始まり、早速筆記試験と実技試験が行われることになっていた。レンデにとって、筆記試験は大きな不安材料だった。特訓に集中していた4か月間、学科の勉強をほとんどしていなかったからだ。
「どうしよう、筆記試験が心配だな」と、レンデは自分に言い聞かせながら試験の準備をしていた。「でも、実技試験では自信があるから、なんとかなるだろう。」
試験当日、レンデは試験会場に向かう前に、心の中でヘルミオにアドバイスを求めた。〈ヘルミオさん、筆記試験が心配です。どうにかする方法はありますか？〉
ヘルミオの声が、心の中で穏やかに響いた。〈筆記試験も大切だが、今はまず実技試験に集中しよう。筆記試験の結果は、後から考えるとして、実技試験での成果を最大限に発揮することが最優先だ。〉
レンデはその言葉に頷き、試験に臨む準備を整えた。筆記試験では、彼の不安が的中し、なんとか50点を取るのが精一杯だった。クラスメイトたちの中には、レンデの勉強不足を心配する声もあったが、実技試験がその不安を一掃することになるとは予想もしていなかった。
実技試験が始まると、レンデは自信を持ってその力を発揮した。特訓の成果が見事に実を結び、彼は試験課題である火魔法を操り、見事に100点を獲得した。試験会場はその威力に驚き、教師たちの間に賞賛の声が上がった。
「素晴らしい成果だ、レンデ！」と、教師の一人が感嘆の声を上げた。「君の実技試験はまさに圧巻だったよ。」
「まさか、あのレンデがここまで…」と、別の教師も驚きを隠せなかった。
その場にいたクラスメイトたちも、レンデの実力に驚きを隠せなかった。その中に、エリス・フォン・クラインもいた。彼女は、レンデが試験を終えた後、近づいてきた。
「レンデ、すごかったわね！」と、エリスは驚きと興奮の混じった声で話しかけた。「火魔法の力が、まるで別のレベルに達しているみたい！」
レンデはエリスの言葉に驚きと照れくさい気持ちを感じながらも、感謝の気持ちを込めて答えた。「ありがとう、エリス。実技試験には自信があったけど、こんなに評価してもらえるとは思っていなかった。」
エリスは笑顔を見せながら、続けて言った。「筆記試験はどうだったの？ ちょっと心配してたんだけど…」
レンデは少し苦笑いしながら答えた。「筆記試験は…まあ、50点取れたかどうかって感じだったよ。でも、実技試験で挽回できたから良かった。」
エリスは安心したように頷き、「そうなのね。でも、実技試験でこれだけの成果を出せるなら、次の筆記試験もきっと大丈夫よ。」と励ました。
その後、エリスはレンデに話しかけながら、試験の結果についての話題を続けた。レンデもそのやり取りに笑顔で応じ、クラスメイトたちと共に、新学期の始まりを祝う雰囲気を楽しんでいた。
