25話:汗と努力を見られている
レンデは特訓場所に着くと、倉庫の裏手での訓練準備を始めた。息を整え、筋力トレーニングの器具を整えながら、心の中で気持ちを引き締めていた。しかし、エリスのことがどうしても頭から離れなかった。
その時、エリスがレンデの後ろに立ち、少し不安げに声をかけてきた。「レンデ、もしよければ、私が特訓を見学してもいいかな?」
レンデは驚き、心臓がドキリと鳴った。エリスの申し出にどう答えたらいいのか、彼の頭は一瞬混乱した。特訓に集中したい気持ちがある一方で、エリスを断るのも難しいと感じた。
「え、エリスさんが…?」レンデは少し戸惑いながらも、エリスの期待に応えようとした。「そうですね…断るのも失礼かと思いますし、ぜひどうぞ。」
エリスはその言葉にほっとしたような表情を見せた。「ありがとう、レンデ。それでは、どんな風に訓練しているのか見せていただきますね。」
レンデはエリスが近くのベンチに座るのを見届けると、再び自分の特訓に集中しようと心を切り替えた。彼は筋力トレーニングを始め、体を動かしながらも、エリスの視線を意識しないように努めた。
エリスは静かにレンデの訓練を見守り、その目は真剣だった。レンデが上半身裸で汗をかきながら体を鍛えている姿を見て、彼女はますます感心している様子だった。
特訓が進むにつれ、レンデはエリスの存在を次第に意識しなくなり、訓練に集中できるようになった。彼の心の中には、エリスの優しい声と、その期待に応えたい気持ちが静かに灯っていた。
特訓が終わる頃には、レンデは汗を拭いながら、エリスの方を見た。「どうでしたか、エリスさん?」
エリスはにこやかに笑い、目を輝かせながら答えた。「とても素晴らしかったわ、レンデ。君の努力と真剣さには本当に感心したわ。私も負けないようにトレーニングに励みますわ。」
レンデは少し照れくさそうに頷いた。「ありがとうございます。これからも頑張りますので、ぜひ見守っていてください。」
エリスは優しく微笑みながら、彼に別れの挨拶をし、特訓の場所を後にした。レンデはその姿を見送りながら、心の中で小さく安堵の息をついた。エリスの優しい言葉と、彼女の期待が、次の特訓への励みとなった。
「少し緊張したけど…これからも頑張らないと。」レンデは自分に言い聞かせながら、新たな決意を胸に、再び特訓に取り組む準備を整えた。