24話:背中の視線
15時、初級魔法学校の授業が終わり、教室から生徒たちが次々と出ていく中、レンデは急いで教室を出た。彼の表情には、今日も特訓に向かう決意と緊張が浮かんでいた。
レンデが校舎の外に出ると、青空が広がり、夏の陽光が煌めいていた。彼は周囲に目を配りながら、倉庫の裏手へと向かう道を急いで歩き始めた。特訓の時間が迫る中、彼の心は集中し、体の動きも自然と早くなった。
その時、背後から静かに足音がついてくるのを感じた。レンデは微かに感じるその音に敏感になり、何度か振り返ったが、周囲には誰もいないようだった。彼は一瞬、不安に襲われたが、気を取り直し、再び前に目を向けて歩き続けた。
「もしかして、気のせいか?」
ヘルミオの声が彼の心の中に響いた。「レンデ、背後に注意を払え。何かが後をついてきている。」
レンデは驚きのあまり立ち止まり、再び周囲をキョロキョロと見回した。しかし、青空の下、周りには誰も見当たらなかった。心の中でヘルミオの声が焦りを増していく。
「何も見えないけど…本当に誰かがついてきているのか?」
彼の心は不安と緊張でいっぱいになりながらも、倉庫の裏手に着くと、特訓の準備を始めた。だが、背後の気配が完全に消えたわけではなく、彼の心はまだ落ち着かないままだった。
突然、後ろからエリス・フォン・クラインが現れた。彼女の顔には、興味深げな表情と少しの不安が浮かんでいた。
「レンデ、ここで何をしているの?」エリスが、優雅な声で話しかけてきた。
レンデは驚きのあまり、体が一瞬固まった。エリスがここにいることに気づき、彼は焦ったように言葉を探した。「エ、エリスさん…どうしてここに?」
「昨日のことが気になって、少しついてきちゃったの。」エリスは恥ずかしそうに微笑んだ。
「特訓に向かうのを見て、どんな風に訓練しているのか興味があって…」
レンデはエリスの言葉に戸惑いながらも、心の中でヘルミオの声が響いた。
(この者はRANK3の実力者だ。君にとっては非常に高実力者だが、彼女の興味を利用する手もある。)
「実は…」レンデは手を擦り合わせながら、どう答えようかと考えた。
「最近、特訓に力を入れているんです。でも、あまり他の人には見せたくなくて…」
エリスは彼の反応を見て、少し心配そうな顔をした。「レンデ、大丈夫?無理しすぎているんじゃない?」
レンデはエリスの優しい言葉に安堵しながらも、背後の気配が完全に消えたわけではないことに気づき、不安な気持ちが消えることはなかった。