表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/198

20話:レンデの魔力器

レンデは疲労と集中の中で魔法の訓練を続けていた。彼の目は、手のひらに集まる微細な魔力を見つめ、心はそれに完全に集中していた。しかし、ヘルミオの冷静な声が再び彼の心に響いた。


「レンデ、今の訓練は確かに重要だが、君の魔力器がまだ開いていないことに気づいたか?」


レンデは目を閉じたまま、ヘルミオの言葉に耳を傾けた。彼の心の中で、ヘルミオの声が深刻なトーンで続いた。


「君の魔力器が開いていないということは、君の魔力を最大限に引き出すことができないということだ。この状態では、魔法の威力を増すことも、精密な制御も難しい。」


レンデはその言葉に驚きと不安を感じた。彼の魔力器とは、体内に存在する魔力を収容する器のことだと理解していたが、それが開いていないとは考えてもみなかった。


「魔力器の入り口を開くことが最優先だ。これは君が強力な魔法を使うための基盤になる。」ヘルミオの声は、焦燥感と共に指示を与えていた。


レンデは、自分の体内の魔力器の状態を意識しながら、再び訓練に集中しようとした。彼は深呼吸をし、内なる魔力を感じ取ろうとしたが、魔力器が閉じられているため、力を引き出す感覚が鈍かった。


「まずは、魔力器の入り口を開けるための訓練をしよう。心を落ち着け、魔力器の位置を意識しながら、その入り口を開くための感覚を掴むことが大切だ。」ヘルミオが指示した。


レンデは目を閉じ、深い呼吸を繰り返しながら、自分の内側に集中した。彼は体内で魔力器を探し、その入り口を意識するように努めた。彼の心は、魔力器が閉じられている部分に触れようとし、微細なエネルギーの流れを感じ取ろうとした。


「魔力器の入り口は、君の心と魔力が一体化する地点にある。そこに意識を集中し、魔力をその地点に集めることで、入り口が開く感覚を掴むことができる。」ヘルミオの声が、指導とともに希望をもたらした。


レンデは心の中で、魔力を一点に集めるイメージを持ち続けた。彼の内なるエネルギーが、魔力器の入り口に向かって流れる感覚を探りながら、少しずつその位置に近づいていくように感じた。最初はただの空虚感と圧迫感だけが広がっていたが、次第に微細な開放感が訪れるようになった。


「そうだ、レンデ。入り口が少しずつ開き始めているのを感じるか?」ヘルミオの声が、鼓舞するように続けた。「その感覚を信じ、力を集中していくんだ。」


レンデは自分の心をさらに深く掘り下げ、魔力の流れを意識的に整えていった。彼の手のひらに集まる魔力が、内なる器に向かって集まっていく感覚を確かに感じながら、少しずつ魔力器の入り口が開いていくのを実感した。


夜が更け、時計の針が深夜を指すころ、レンデは体内の魔力器の入り口がわずかに開いた感覚をつかんだ。まだ完全には開いていないが、その手ごたえは確かに感じられた。彼の疲れた体と心には、微細ながらも確かな成長の証があった。


「よくやった、レンデ。」ヘルミオの声が、満足げに響いた。「今日の訓練で、君は一歩前進した。魔力器の完全な開放には時間がかかるが、継続して努力を続けることで、確実に力を引き出せるようになる。」


レンデはその言葉を胸に、訓練を終えた。彼は体を休めるためにベッドに横になり、明日への決意を新たにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ