2話:賢者の栄光
午後の光が差し込む図書室で、セリスはヘルミオに目を輝かせながら話していた。ヘルミオは、かつての冒険や魔法の使い方について語りながらも、その目には淡い感慨が浮かんでいた。
「火の魔法に関しては、まず炎の性質を理解することが重要だ。炎はただの熱ではなく、生命力を持っている。」ヘルミオは、手のひらを軽く上に向けて、指先にほんのわずかな炎を灯した。「このように、火の魔法を扱うときは、常にその力の大きさを理解しなければならない。」
セリスはその小さな炎に感心しながら、「先生のように、炎を自在に操るにはどれくらいの訓練が必要なんですか?」と尋ねた。
ヘルミオは少し考え込みながら、目を閉じて過去を思い出すように話し始めた。「私が若い頃、火の魔法を極めるためには、多くの試練があった。特に、自分の内なる感情や欲望と向き合うことが重要だった。炎は感情の反映とも言えるから、感情が乱れると、その力も制御できなくなる。」
「感情…」セリスはその言葉に深く考え込みながら頷いた。「つまり、自分をコントロールすることが必要なんですね。」
「そうだ。感情をコントロールすることで、火の力をより良く使えるようになる。」ヘルミオは優しく微笑んだ。「でも、力を持つ者にはそれだけでは足りない。力を持つ者には責任が伴う。力を持っているからこそ、その使い方には常に注意が必要だ。」
セリスはしっかりと頷きながら、「責任…それは重要なことですね。」と口にした。「先生のお話を聞いて、さらに努力しようと決意しました。」
その時、ヘルミオはセリスの目の中に自分の若かりし日の姿を見たような気がした。若い頃の自分も、こうして誰かの助けを求めていたのかもしれないと思いながら、「それで、他にどんな魔法に興味があるんだ?」と話題を変えた。
セリスは嬉しそうに、「実は、水の魔法にも興味があるんです。特に、氷を使った魔法に挑戦してみたいと思っていて…」と語り始めた。
「水の魔法か。」ヘルミオは興味深そうに聞きながら、「氷を使った魔法はまた別の挑戦がある。水は冷却することで固体に変わるから、その過程を理解することが大切だ。氷の魔法も、火の魔法とはまた違った技術が必要になる。」
「具体的にはどのような技術が必要ですか?」とセリスは質問した。
「氷の魔法では、冷却の過程を細かくコントロールすることが重要だ。温度を適切に調節し、氷を作るためには高い精度が求められる。」ヘルミオは、指で氷の形を作るようなジェスチャーをしながら説明した。「例えば、氷の剣を作るときには、氷の硬さや形状をしっかりとコントロールする必要がある。」
セリスはその説明に目を輝かせながら、「ありがとうございます、先生。氷の魔法もとても面白そうですね。」と答えた。
ヘルミオはその反応に心からの喜びを感じながら、少し思い出に浸っていた。自分が若い頃もこんな風に学び、成長していったのだと思いながら、彼はセリスに温かい言葉をかけた。「魔法の学びは終わりがない。常に新しい発見があり、それに挑戦することで成長していくんだ。君のような若い魔法使いがその道を歩む姿を見るのは、私にとっても嬉しいことだよ。」
セリスはその言葉に感激しながら、「はい、先生。これからも精一杯学んでいきます。」と力強く答えた。
その後、ヘルミオはセリスに魔法の基礎や重要な注意点を伝え続け、彼の熱心さに応えながらも、静かに自分の過去の姿を振り返る時間を持った。セリスが帰った後、ヘルミオは再び自分の書物に目を向けながら、心の中で自分が過去の自分と向き合う姿を思い返し、少しだけ心の中に新たな希望の光を見つけたような気がした。