19話:ヘルミオによる特訓
授業が終わり、午後の陽光が少しずつ柔らかくなる中、レンデは学校の寮に戻り、ヘルミオの指示に従って特訓を開始するために倉庫の裏手に向かった。午後の15時を過ぎると、周囲の賑わいも収まり、寮の敷地はひっそりと静まり返っていた。
倉庫の裏には、使われていない古い器具がいくつか置かれており、そこがレンデの特訓の場となる。ヘルミオの言葉がレンデの心に響いていた。
「まずは肉体改造の特訓からだ。君の力を制御するには、強い体が必要だ。筋力をつけ、スタミナを増やすことで、より高度な魔法を使えるようにする。」
レンデは倉庫の裏で、古びた重りやトレーニング器具を使い始めた。彼はまずは腕立て伏せから始め、次に懸垂、さらにスクワットと続けていった。筋肉が悲鳴を上げ、汗が額から流れ落ちる中、レンデはその痛みを我慢しながらも、ヘルミオの声に従い続けた。
「呼吸を意識し、リズムを崩さずに続けるんだ。自分の限界を超えることで、力が身につく。」
レンデはその言葉に従い、一回一回の動作を丁寧に、そして力を込めて行った。筋肉が震え、体全体がへとへとになるまで、レンデは休まずにトレーニングを続けた。一時間後、ようやくトレーニングを終えたレンデは、息を切らしながら地面に座り込み、そのまましばらく動けなくなってしまった。
「よくやった。これで基礎ができた。今度は魔法の訓練だ。」ヘルミオの声が冷静に続けた。
レンデはその後、自室に戻り、深い呼吸で少しずつ疲れを癒しながらも、魔法の特訓に移る準備をした。夕方が過ぎ、夜の帳が下りる中、彼は自分の部屋の机に向かい、魔法のテキストを開いた。
「魔法制御の訓練を始めるぞ。」ヘルミオの声が、再びレンデの心に響く。「君の魔力を意識的に使いこなすためには、まずは基礎からしっかりとやり直す必要がある。まずは魔力の発動から始めて、徐々に精度を高めるんだ。」
レンデは床に胡坐をかいて座り、魔力を集中させるために目を閉じた。手のひらに魔力を集め、微細なエネルギーを感じ取りながら、少しずつ力を高めていく。最初はうまくいかず、魔力が暴走したり、無駄に消耗することが多かったが、ヘルミオの厳しい指導とフィードバックを受けながら、少しずつ力をコントロールできるようになっていった。
「その調子だ、レンデ。集中して、魔力の流れを体内で感じるんだ。力がどこにあるのか、どう使うのかを理解することが重要だ。」
レンデは手のひらから放たれる魔力の温かさと冷たさを交互に感じながら、何度も発動と制御を繰り返した。時には力が暴走し、周囲の物が軽く震えることもあったが、彼は冷静に対処し、エネルギーを整えることに努めた。
時間が過ぎるにつれて、彼の手のひらにはわずかながらも安定した魔力の感触が戻ってきた。