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189話:夜の砂塵

砂漠の中、焼けるような太陽の下での戦いが終わり、最後のデューンサーペントを倒した瞬間、全員がほっと一息ついた。ジェシカがポーチの中を覗き込み、数を数えながら静かに言う。


「砂塵の魔石10個、熱砂の魔石5個、潜伏の魔石3個、揺らめきの魔石4個、そして耐熱の魔石6個よ…」


リュウが腕を振り回し、肩を鳴らしながら笑みを浮かべた。「悪くない稼ぎだ。これだけあれば、装備を新調するのに困らないな。」


ジェシカは汗で濡れた額を拭いながら、うっすらと微笑んでいる。「けど、さすがにもう十分でしょ。これ以上やったら体力も尽きるわ。」


マークも剣を鞘に収め、深く息をついて言った。「ああ、俺もそう思う。新しい剣の切れ味が良くて助かったけど、さすがに疲れたな。」


全員が同意し、デューンサーペントから魔石を採取した後、砂漠を後にすることにした。砂漠地帯から脱出するまでに10分ほど歩いた。砂地が岩の地帯に変わり、やがて小さな木々が見え始める。目の前には森が広がり、その入り口が見えてきた。


森の出口近くで、全員が足を止め、疲れた体を休めるために地面に座り込む。リュウが仰向けに寝転がり、息をつきながらふと口を開いた。


「もし、今ここで盗賊に襲われたら…俺たちは終わりだな。」


その言葉に、みんなが笑い出す。ジェシカが目を細めて、「ほんと、今じゃ風の魔法すらまともに使えないかも」と冗談めかし、レンデも肩をすくめながら「俺も岩をもう一度動かす自信はないな」と続けた。


マークは苦笑しながら、剣の柄に手をかけて言う。「まぁ、少なくともこの剣があれば…盗賊くらいなら何とかなるさ。」


その冗談交じりの言葉に、全員がまた小さく笑い合った。



全員が地面に座り込み、しばらく静かな時間を過ごした。半刻ほどの休憩の後、リュウが立ち上がり、周囲を見回しながら言った。「そろそろ、補給しよう。水分を補って、体力を整える必要がある。」


それぞれが手元の水袋を取り出し、砂漠の暑さで失った水を飲む。ジェシカが干し肉をかじりながら、ふと視線を上げた。「日が落ちる前には王都に帰りたかったけど、狩りに時間を使いすぎたな…」


マークが頷き、「確かに。稼ぎは良かったけど、仕方ないな。ここで野宿をするか」と言った。リュウが少し考え込むように、「王都の門をくぐるのは明日の朝だ。日没後には門が閉まってしまうから、今からだと間に合わないだろう。」


レンデは静かに水を飲みながら、皆の様子を見守っていた。「それなら、明日の朝までここで休むしかないな。夜は冷えるから、温かいものを用意したい。」


「火を起こすのは簡単だ」とリュウが言い、みんなで少しずつ燃料となる小枝を集め始める。やがて、焚き火がパチパチと音を立てて燃え始め、ほのかな温かさが周囲を包む。


「みんな、疲れてるけど、明日への備えをしっかりしよう」とマークが言った。「今日は俺が最初の見張りだ」


全員が火を囲みながら、明日の狩りに向けて体力を温存するために、交代の見張りに起きているマークの他は、外套に包まり眠りに入っていった。

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