188話:マークの剣
リュウは、マークの方を見やり、少し笑みを浮かべながら声をかけた。「やったな、マーク。でも…その剣は何だ?」
マークは少し戸惑いながらも、彼女の言葉を受け止め、ゆっくりと答えた。「ああ、エルダイトだ。前回の分配のとき、少し無理をしてな。」
リュウは眉をひそめながら、マークにもう一度問いかける。「数日前の分配の時に、派手な金遣いは避けろと言ったのに。そんなにため込んでいたのか?その剣、金貨1500枚は固いだろ?」
マークは肩をすくめて「まあな、けど今はもう金貨4枚しか手元にない」と言い、軽く苦笑した。
リュウはため息をつきながらも、少し笑って言った。「全然無いな。まぁ、ひと月は困らないだろうが…今日の狩りの稼ぎをあてにしているな?でも、ちょっとみんな、今手元にいくら持ってる?あまり溜め込んでいると同じ傭兵仲間から妬まれることもあるが…私たちはそれなりに稼いでいる自覚はある。レンデ、お前はもともといくら持っていたかわからないが、400枚ぐらいは手元にあるんじゃないか?」
レンデは少し戸惑いながらも、軽く頷いた。「まあ、それくらいだな。」
リュウは続けてジェシカの方を見やった。「ジェシカはどうだ?あまり使わないほうだから、2,000枚以下ってとこか?」
ジェシカは目を細めながらも、微かに笑いを浮かべ、「まあ、そのくらいかもしれない」と返す。
リュウは全体を見渡しながら言葉を続けた。「私たちの中で、中位クラスの装備を使っているのは、これまでいなかった。目立つからな。だから、みんな下位クラスの装備をメンテナンスしながら延命的に使ってきたんだ。」
そしてマークを見つめ、軽く肩を叩いた。「お前が瓶の蓋を最初に開けたってことだな、マーク。まあ、仕方ない。レンデが加入してから、稼ぎが一気に跳ね上がったんだ。欲望が抑えきれなくなるのもわかるよ。だが、その剣…布を巻いて何の剣か一見わからなくしているのは賢明だ。これからもその工夫を続けろよ。」
マークは少し照れくさそうに頷いた。
リュウはさらに続けた。「これからは、稼ぎに応じて中位クラスの装備に切り替えていくべきだろうな。もちろん、妬まれることもあるだろうが、騎士団からの指名依頼も積極的に受けていく。実力と金がついてきた以上、そういう面倒な仕事を代わりに引き受けているって姿勢を、他の傭兵たちに見せることが大切だ。」
彼女は周囲を一瞥し、次のデューンサーペントを目で探した。「さて、そろそろ次だな。」
マークが再び剣を構え、リュウや他の仲間も戦闘準備を整えた。彼らは、次のデューンサーペントに立ち向かい、マークの新しい剣の切れ味が冴え渡る。次々と敵を斬り倒していく様子は、まさに「砂上の剣舞」と呼ぶにふさわしいものだった。
デューンサーペントは解体しても価値のある部位は少なかったため、腹から切り裂いて体内から魔石を取り出し、彼らは次々と戦利品を手にしていった。
「今日の狩りも順調だな…」リュウは満足そうに微笑んだ。