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181話:森の襲撃者

森の奥深く、静かな緑の中でレンデたちは狩りを続けていた。彼らの目指す獲物、スタッグ(大鹿)はまだ見当たらなかったが、代わりに一頭のフォレストベアが目に入った。茶色い背中が日差しを受けて光り、周囲の木々と見事に調和している。


レンデは仲間に小声で指示を出した。「見て、熊だ。フォレストベアかもしれない。遭遇したくない相手だ。」


ジェシカは頷き、注意深く周囲を見渡す。フォレストベアは、周囲の自然を操る力を持っているため、簡単には立ち向かえない敵だ。レンデは一瞬の静寂を感じ、心臓が高鳴るのを感じた。


「隠蔽をかけよう」と、レンデは魔法を発動した。彼の身体が透明になり、周囲の景色に溶け込んでいく。仲間たちも同様に隠蔽をかけ、慎重に熊の動きを観察した。


しかし、フォレストベアはその巨体を揺らし、何かに気付いたようだった。レンデの心臓が一瞬止まる。隠蔽の魔法があっても、自然と調和する熊には敵わないかもしれない。


その時、フォレストベアがゆっくりと振り向き、彼らの方向に向かって鼻を動かす。危険な状況が迫ってきた。レンデはすぐに決断を下した。「行くぞ、早めに仕留めよう!」


ジェシカが風魔法を発動し、フォレストベアの動きを一瞬抑え込む。その瞬間、レンデは「螺旋氷槍」を生成した。小さく捻じりながら、貫通力を高めていく。


「今だ!」レンデが叫び、氷槍を熊の心臓の位置に向かって放った。氷槍は空を切り、フォレストベアの胸に深く突き刺さった。


だが、熊はすぐに反応し、痛みを感じたのか怒り狂ったように唸り声を上げた。怒涛の力で前足を振り上げ、レンデたちに向かって突進してくる。


「マーク、援護!」リュウが叫ぶと、マークは急いで弓を引き、矢を放った。矢はフォレストベアの肩に命中し、熊は一瞬よろめいたが、まだ立ち上がってくる。


「逃げるか?」ジェシカが不安そうに言うが、レンデは頷かない。「まだだ、みんなで追い詰めよう!」


再び隠蔽を使い、レンデは熊の動きを観察する。隠れたまま、仲間たちと一緒に熊の側面に回り込み、再度攻撃のチャンスをうかがう。


フォレストベアが周囲を探るように動くが、彼らの隠蔽の魔法が功を奏し、すぐには見つけられなかった。しかし、レンデの心は緊張感でいっぱいだ。


「今だ、ジェシカ!」レンデが合図を送ると、彼女は風魔法で再度熊の動きを抑え、レンデは先ほどよりも魔力を込めて氷の槍を放つ。「氷よ!」今度は更に連続して放ち、熊の足に次々と氷の槍が突き刺さる。


フォレストベアは猛然と吠え、彼らの方向に向かって突進してくるが、その勢いは弱まり、ついに力尽きて倒れた。レンデたちは息を切らしながら、その光景を見守った。


「やったか…」レンデが呟くと、仲間たちは安堵の表情を浮かべた。

「最初の一撃が効いていたのかもしれないが、すごい生命力だ」レンデは仕留めきれなかった悔しさよりも、生きることへの力強さをフォレストベアから感じ取っていた。


熊の血抜きは手こずったが、これをやっておかないと、素材としても肉としても価値が落ちてしまう。

マークとリュウが足を斜面の上へ引っ張り、位置を整え、レンデが首の血管を切ると、血抜きを終わらせた。

スタッグと同様に、レンデが空間収納へ入れてしまうと、4人は軽い疲労感を覚えつつも、懐が温かくなるのを予感し、達成感を感じていた。

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