173話:仲間の評価と未来への期待
「36匹……」レンデは思わず口に出して数を確認した。「グリムドッグを36匹も討伐したなんて、かなりの成果です。騎士団にも認められているはずです」
「間違いないわ。これだけの戦果を出せば、騎士団からの評価も自然と上がる。今後の報酬にも影響するかもしれない」とリュウは少し口角を上げて笑みを浮かべる。
「それに、騎士団がこんな調子なら、今後の戦いでは傭兵がさらに必要とされるはず。私たちには稼ぎ時かもしれないわ」と、彼女は鋭い目つきで言った。
マークもその考えに同意する。「そうだな。騎士団が頼りにならないなら、俺たちが前面に出る場面が増えるってことだ。奴らの不甲斐なさは、俺たちにとっては好都合だよ」
レンデは、仲間たちの話を聞きながら、確かに自分たちは騎士団以上の成果を出していることに誇りを感じていた。しかし同時に、騎士団の不安定さが街全体にとっては危険な兆候であることも感じていた。
「でも、次の戦いが来たときに、もっと大規模な戦いになるかもしれません」とレンデは慎重に言った。「その時、私たちだけで対応できるのかどうか……。騎士団がもう少ししっかりしてくれればいいんですが」
リュウは微笑んで彼に答える。「心配はいらないわ、レンデ。私たちはこの街で信用を積み重ねていく。そして、必要なときには自分たちの力で状況を変えていけばいいのよ。騎士団が頼りにならなくても、私たちはやれる」
「そうだな。騎士団が弱くても、俺たちが強くなればいいだけだ」とマークも同意する。
ジェシカも「私たちはもっと戦術的に動ける。次の戦いでは、さらに成果を上げられるわ」と、自信たっぷりに言った。
レンデは大魔法の練習で得た自信を胸に、酒場を後にした。熊の解体をすっかり忘れていたことを思い出し、急いで解体屋へ向かう。酒場の中には、リュウ、ジェシカ、マークの3人が残り、彼の帰りを待っていた。
リュウが手を組んでテーブルに肘をつき、思案にふける。
「レンデの実力、いったいRANKはいくつなんだろう?」リュウが疑問を投げかける。
ジェシカは考え込みながら答える。「おそらくRANK6だと思うわ。ただ、彼にはそれ以上の力がありそうよ。RANK6の中でも上位の実力を持っていると感じる。特に、マナの量は私を完全に超えているし、魔法の種類も火、風、水、土の4元素を操るなんて、本当にすごい才能だと思う」
マークが頷きながら続ける。「それに、最近の彼の焦りも気になる。エリスのために成果を出したいって気持ちが強いみたいだ」
「エリスって、彼の許嫁なの?」リュウが興味を持ち、ジェシカに尋ねる。
「たぶん、そうじゃないかしら。彼が領地で待っていると言っていたから、貴族の家の人なのかもしれないわね」とジェシカは答えた。
マークが思いついたように言った。「でも、焦りは良くないよな。冷静さを保つことも大事だ。彼は最近、ジェシカと一緒に練習していた大魔法の完成度が上々だと思うし、次の狩りで使えるかもしれない」
「確かに、あの技が使えれば、次の戦いで大きなアドバンテージになるわ」とジェシカが賛同した。「私たちがしっかりサポートして、彼の自信を育てる必要がある」