168話:刻まれた大魔法
レンデは息を深く吸い込み、まず「螺旋氷槍」に集中することにした。手を前にかざし、氷の槍のイメージを鮮明に浮かべようとするが、頭の中に雑念が広がる。風が頬を撫で、木々のざわめきが心を乱していく。彼は目を閉じ、深呼吸をして心を静めた。
レンデは、心の中で強く決意を固め、手を前にかざした。彼に残された時間はわずか、小一時間程度。しかし、ここで技を完成させなければ、自分自身の成長を感じることができない。焦りが胸をよぎるが、それを押し殺し、まずは「螺旋氷槍」に集中する。
「螺旋を描いて、回転力を与える…もっと大きく、もっと鋭く…」頭の中で何度も繰り返しながら、手のひらに冷たい魔力を集め始める。氷の槍が徐々に形を成していくが、最初は小さく、不安定だった。
「集中しろ…もっと強く…」レンデは歯を食いしばり、イメージをさらに細かく精密に練り上げる。螺旋の回転がより力強く、槍自体が巨大化していく。ついに彼の手元に、見事な氷の螺旋槍が出現した。それは先ほどの失敗作とは異なり、圧倒的な存在感を放っていた。
「いけ…!」レンデが放った瞬間、氷の槍は唸りを上げながら飛び出し、木々を貫いていく。螺旋の力がさらに加わり、槍は巨大な回転をしながら目標の木の幹を粉々に砕き、奥深くに突き刺さる。木の根元には、深い氷の痕跡が残り、槍の回転によって削り取られた木片が周囲に散らばった。
「…見事だな。」レンデは息を整えながら自分の技の威力を確認し、満足げに頷いた。ジェシカも横で驚嘆の表情を見せる。
「次は…」レンデは次の技、「血沸爆裂」を試す番だと気を引き締めた。彼は標的として、近くにいた蛇を見つけた。蛇はゆっくりと地面を這っている。
「これが本当に成功するか…」レンデは不安を抱きつつも、イメージを明確にしようと努力した。心の中で血液が沸騰し、体内で圧力が高まる様子を描き、魔力を蛇の体内に送り込む。
蛇が一瞬苦しんだように体を震わせるが、すぐに外見には変化が見えなくなった。レンデは焦りを感じたが、もう一度挑戦してみる。マナを蛇に送り込むイメージを杖の先に送り集中する、しかし、何も起こらなかった。
「くそ…まだだ…」レンデは何度も試みたが、蛇はそのままのそのそと這って居なくなってしまった。
「これはダメか、そもそも、4元素の操作とかけ離れている為なのか、、、」レンデは原因を考えようとしたが、時間が無いかと思い、次を試すことにした。