167話:螺旋氷槍と血沸の技
レンデは森の中の静かな空気を吸い込み、ジェシカの助言に従って、より強力な一撃を試す決意を固めた。王都近郊の静かな風景が、彼にとってちょうどいい修練の場となっていた。森の外れには広い草原が広がり、遠くには王都の城壁が小さく見える。王都近くにいながらも、人の目を気にせず集中できる場所だった。
「小一時間ってところか…騎士団が帰ってくるまでにはまだ時間があるな」とレンデは呟きながら、目を閉じてイメージを膨らませ始めた。
ジェシカは彼の横に座り、風に揺れる木々を見つめながら口を開いた。「レンデ、まずは焦らず、一つずつ試していきましょう。目指すは強力な一撃だけど、私たちの狩り方に合ったものじゃないとダメよ。魔獣やドラゴンの皮や毛を傷つけずに仕留める必要があるから。」
レンデは頷き、すでに頭の中で形になりつつある魔法の技を思い描いた。「まず一つ目だ。氷の槍を考えているんだけど…ただ突き刺すだけじゃなくて、螺旋の力で貫通力を高めるんだ。氷の槍が回転しながら飛び、相手の装甲をねじって突破するイメージ。」
ジェシカはそれを聞いて少し考え込む。「回転する氷…なるほど、いいわね。相手の防御を貫通するなら、その方法は効果的かもしれない。名前はどうする?」
「…そうだな、『螺旋氷槍』って呼ぼうと思う。シンプルでわかりやすいだろ?」レンデは微笑みながら言った。
ジェシカも頷き返す。「いい名前ね。次は?」
「次は、内部からのダメージを与える技。外側は傷つけたくないときに使うんだ。相手の血液を沸騰させて、体内から爆発させる。外見は無傷だけど、内側から破壊する技だ。」
ジェシカは眉をひそめた。「それってかなり強烈ね。でも、確かに外皮を傷つけずに倒すには理想的かも。名前は?」
「『血沸爆裂』にする。」レンデは冷静に答えた。
「なるほど、怖い名前だけど、威力は期待できそうね。」ジェシカは少し笑みを浮かべた。
レンデはさらに続けた。「そして、三つ目は…大きな岩で足の形を作って、上から踏みつける技だ。大きな足が相手を押し潰して、直接的にダメージを与える。」
「それも面白い発想ね。巨大な岩の足…なんて名前にするの?」
レンデは少し考えた後、決めた。「『大地圧殺』だ。」
ジェシカはその名前を聞いて、真剣に頷いた。「それなら、かなり強力な一撃が期待できるわね。どれも実践で役立ちそう。」
その時、レンデはふと、心の中でヘルミオの声を感じた。「お前の選んだ技、それでいい。私も短縮詠唱の際は、心の中で魔法を唱えることがあった。イメージがすべてだ。しっかりと描き出せ、そして魔力を瞬時に引き出すんだ。」
レンデは深呼吸し、決意を新たにした。「心の中で唱えるんだな…やってみる。」