156話:グリムドッグを回収せよ
マーク・ドレイクは剣を高く振り上げ、バイコーンに向かって突進する。ジェシカも風の魔法を再び詠唱し、バイコーンに向かって強力な風の刃を放つ。
レンデはまた風の魔法を連発し、バイコーンの足元を狙って攻撃を続けた。攻撃が次々とバイコーンにヒットし、その体がついに倒れる。指揮するものがいなくなったバイコーンが地面に崩れ落ち、周囲のグリムドッグたちもそれに続いて戦意を喪失する。
戦闘がようやく終息し、レンデたちは深く息をついた。グリムドッグたちとバイコーンの死体が周囲に転がっている中、仲間たちは互いに安堵の表情を浮かべた。
「お疲れ様、みんな。」レンデは仲間たちに微笑みかける。「無事に倒せてよかった。次の戦闘に備えて、少し休憩しよう。」
「そうだな。」リュウ・アケミがうなずきながら言う。「今回はうまくいったけど、まだまだ気を抜かないようにしよう。」
レンデは戦闘の後、仲間たちが休んでいる間に、倒したグリムドッグたちの回収に向かうことにした。アレスが「自由にしていい」と言っていたことを思い出し、部位を持ち帰るようにと指示があったのを思い出す。だが、どこを取ればいいのか分からず、全身を持って帰るのが一番手っ取り早いと考えた。
レンデは手早くグリムドッグの死体を空間魔法のスペースに収納していく。10頭も収納すれば、スペースがかなりいっぱいになってしまう。まだ空間魔法を大きく維持することができないからだ。死体を次々と収納し、バイコーンとゴブリンメイジの体も同様に収納する。
地面の血のあとは火の魔法で焼いておく処理も忘れない。
レンデが忙しく動き回る中、地面に転がっていたグリムドッグの死体が不思議なことに次々とどこかに消えていく様子を、休んでいたリュウ・アケミ、ジェシカ・フォード、マーク・ドレイクが目撃していた。
「レンデ、何をしているんだ?」リュウが声をかける。「あれ、どうやって運んでるんだ?」
ジェシカも興味深そうに問いかける。「どうやってグリムドッグたちを持って帰っているの?何か特別な魔法を使っているの?」
マークはさらに質問を重ねる。「あれ、どこに消えているんだ?見たことがない技術だ。」
レンデは苦笑いをしながら説明を始める。「実は、これが空間魔法ってやつなんだ。空間内に物を収納できる魔法で、今はまだ完全には扱いきれてないから、少し大変だけどね。」
「空間魔法?」リュウは目を丸くして言う。「そんな魔法があるなんて知らなかった。」
「ええ、普通はあまり使う機会がないからね。」レンデがうなずく。「この魔法を使うと、大きな物を持ち運ぶのに便利なんだ。でも、まだ完全に使いこなせるわけじゃないから、収納量に限界がある。」
ジェシカが興味津々で尋ねる。「それで、バイコーンやゴブリンメイジの体も収納したの?どうするつもり?」
「そうだね。」レンデは答える。「アレスが言っていたように、素材として使うために持ち帰るんだ。どこで使うかはまだ分からないけど、無駄にはしないつもりだよ。」
「なるほど。」マークが感心したように言う。「しばらくは、レンデのこの魔法に頼るか。素材を捨てることなく持って帰れば、かなり稼ぎになるよな。」
レンデは笑顔で答える。「みんなの協力があってこそだよ。がっぽり稼ごう!さて、これで準備が整ったから、また先へ進むとしよう。」