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149話:二人の静かな約束

夜のフォン・クライン家の宿泊施設。レンデは自室で静かに魔力操作の瞑想を行っていた。深い呼吸と共に魔力の流れを感じ、集中していたその時、控えめなノック音が聞こえた。


「どうぞ」と返事をすると、メイドだろうと予想していたレンデの目に飛び込んできたのは、エリスだった。彼女は扉を少し躊躇いながら開け、枕を抱きかかえたまま静かに部屋に入ってきた。


「失礼します…」


エリスの様子に、レンデは突然緊張感を覚え、思わず周囲を見回してしまった。部屋の隅に立てかけた杖の位置を確認しつつ、何か異変があったのではないかと考える。


「何かあったのか?」


不安げに尋ねると、エリスはほんのり顔を赤らめながら、恥ずかしそうに小さな声でつぶやいた。


「…一緒に寝ても、いい?」


彼女が抱えている枕が、突然の状況を強調している。レンデはその言葉を聞いた瞬間、思考が一瞬で止まり、頭の中が真っ白になった。「え、どういうことだ…?」心の中で戸惑い、時間が一瞬だけ止まったように感じる。自分を立たせたままのエリスに気づき、慌てて言葉を搾り出す。


「え、あ、座ったら…?」


ぎこちない言葉に自分でも驚きながら、エリスはゆっくりとレンデの隣に歩いていき、少し間を空けてベッドの端にちょこんと座った。


部屋には沈黙が広がり、二人とも動く気配がない。レンデは内心焦りつつも、どうすればいいのか全くわからず、脳内のヘルミオに助けを求めるが、彼も沈黙を守ったままだ。


長い沈黙の後、ようやくレンデは言葉を絞り出した。


「…じゃあ、寝ようか?」


言葉を発するだけで緊張が増し、額には冷や汗がにじむ。ぎこちない動きでベッドに向かい、エリスもそれに従う。二人は距離を保ちながら、同じベッドにそっと入り込んだ。


沈黙が再び部屋を包む中、レンデは心臓の鼓動が耳に届くほどに高鳴っていたが、エリスの隣で少しずつ気持ちを落ち着けようと努めた。

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