148話:温泉の休息
温泉で体を温めたレンデは、ゆったりとした気分でホールを後にし、待機していた馬車へと向かった。馬車に近づくと、すでにエリスが座って待っているのが見えた。彼女の顔は少し不機嫌そうだ。レンデが馬車に乗り込むと、エリスがすぐに言葉を投げかけた。
「遅い!ずいぶん待たせたじゃないの!」
エリスの声には明らかな怒りがこもっていた。レンデは苦笑しながら、少し肩をすくめた。「ごめん、ちょっと話があってね。実は、先日一緒に調査隊に参加していた仲間たちが、協力してほしいって頼んできたんだ。傭兵みたいなことをやってくるって話なんだけど、要は王都周辺で魔獣を狩る仕事だよ。」
エリスはレンデの説明を聞きながら、少し眉をひそめた。「傭兵の真似?危険なことはしてないでしょうね?」
レンデは、彼女の心配を和らげるために穏やかに笑った。「そんなに危ないことじゃないさ。騎士団との契約を進めて、報酬もしっかり得るつもりだし、大きな成果を出すためにやってみるんだよ。この1年で何か形に残したいと思ってさ。」
エリスはまだ少し不満げな様子だったが、レンデの決意を感じ取ったのか、やや柔らかな表情になった。「なら、気をつけてね。無理はしないでほしい。」
レンデは頷いて、窓の外を見やりながら馬車の揺れを感じ取った。