137話:雷炎の戦陣
獣たちは次々に倒されていくが、さらに2頭の獣が勢いを増してマークとエリスに向かって突進してきた。彼らは躊躇することなく、それぞれの武器を構えて迎え撃とうとするが、獣たちの猛攻は予想以上に早い。
しかし、その瞬間、獣たちがレンデの雷撃の障壁に触れた。
「バチバチッ!」と雷鳴のような音が響き、獣たちの体が一瞬硬直する。障壁に触れた部分から青白い稲妻が走り、獣たちはその場で激しく痙攣したかと思うと、強力なエネルギーに弾き飛ばされた。空中に投げ出された2頭の獣は、重力に引かれるように地面に叩きつけられ、動かなくなった。
「やるね!」ジェシカが素早く周囲を見渡しながら言う。
「全員、まだ油断するな!」リュウ・アケミが警告の声を上げる。
獣たちの勢いが少しずつ衰える中、レンデは雷撃の障壁を維持しつつ、敵の動きを冷静に観察していた。獣の群れの中には、まだ攻撃を仕掛けてくる個体が数多く残っている。彼は仲間たちの連携を見守りながら、次の一手を考えていた。
「このままでは手薄な部分ができてしまう…」レンデは内心でそう判断し、すぐさま火の魔法を使う決意を固めた。彼は深呼吸し、手のひらに集中するように魔力を集めた。
「火よ」レンデは呪文を唱えながら、手のひらに赤い炎を作り出した。火の玉が彼の手の中で蠢き、次の瞬間、レンデはそれをメンバーが手薄な方向にいるグリムドッグに向かって放った。
火の玉は空中を素早く飛び、獣の群れに直撃した。爆発的な炎が地面を走り広がり、グリムドッグたちは数頭が一瞬にして炎に包まれ、逃れる間もなくその場で焼き尽くされた。
レンデは火の魔法を次々と放ち、仲間たちの戦闘ラインを補強するように攻撃を仕掛ける。グリムドッグたちは彼の的確な魔法攻撃により次々と倒れていく。
「あいつ!」エリスが感心した声を上げながら、弓を引き絞る。「その調子だよ!」
ジェシカもまた、力強く頷いて火の魔法をさらに広げる。「レンデがここまでやってくれるなら、私たちも負けてられないわね!」
部隊全員が再び力を合わせ、最後の猛攻に挑む。リュウ・アケミは一瞬の隙も見逃さず、全体の指示を出し続け、的確に仲間たちを導いていた。
やがて、レンデの放つ火の魔法が最後のグリムドッグに命中し、その体を一瞬で焼き尽くした。残ったのは、焦げた大地と、周囲に漂う熱気だけだった。
戦いが終わった瞬間、静寂が訪れた。部隊は全員、息を整えながら周囲を見渡した。倒れたグリムドッグの数はなんと22頭にも及んでいた。
「全員、よくやった!」リュウ・アケミが満足げに叫んだ。「これで全ての敵を片付けた。みんなのおかげだ。」
マークが笑顔で肩を叩き、「レンデ、君の魔法がなければここまでうまくいかなかったさ。」と言った。
「いや、皆がうまく連携してくれたおかげで、全てを倒すことができた。」レンデは皆の笑顔を見渡しながらそう言った。
部隊全員が互いに称え合い、戦いの疲労を感じながらも、勝利の余韻に浸っていた。