136話:チームの連携
獣の集団が稜線から駆け下り、地面を激しく蹴り上げながら接近してくる。獰猛な咆哮が響き渡り、空気が一気に張り詰めた。部隊全員が緊張しながらも、各々の役割を果たすために冷静に準備を整える。
エリス・グレイは、鋭い目で獣の動きを観察し、素早く弓を構えた。彼女は息を整え、次の瞬間、矢を放った。矢は見事に二頭の獣を同時に射貫き、獣たちは痛みによろめきながら地面に崩れ落ちた。
「命中!」エリスが小さく呟くと、続けざまに次の矢を手に取った。
ジェシカ・フォードはエリスの成功を確認し、次の一手に移る。彼女は力強く杖を振りかざし、詠唱を開始する。「炎の精霊よ、我が敵を焼き尽くせ!」彼女の言葉が終わると同時に、炎が一瞬で形成され、巨大な火の玉が獣の一頭に向かって飛んだ。火の玉が獣に直撃し、その体は炎に包まれて地面に倒れ込んだ。
「やったわ!」ジェシカが微笑みながら、次の魔法の準備に入る。
レンデはその様子を見守りながら、自分の雷撃の障壁を調整しつつ、他のメンバーが攻撃に集中できるようにサポートを続ける。彼は次々に雷のエネルギーを周囲に広げ、獣たちが障壁を越えようとするのを防いでいた。
マーク・ドレイクは弓を引き絞り、接近してくる獣の頭部を狙い定める。放たれた矢は空を切り裂き、獣の目を正確に射抜いた。「よし!」マークが声を上げ、次の矢を素早く準備する。
シルヴァン・ローレンスも剣を手にしながら、仲間たちが迎え撃つ獣の数を減らすのを見守っていた。「弓と魔法で出来る限り倒してくれ。残りは俺が引き受ける。」と低く呟きながら、剣に力を込める。
獣の集団は次々に倒され、部隊の正確な攻撃によって勢いが削がれていく。しかし、数の多さからか、まだまだ残りの獣がこちらに向かってきていた。
「皆、あと少しだ!焦らずに、一頭ずつ確実に仕留めよう!」リュウ・アケミが全体に声をかけ、冷静に状況を見守りながら指示を出す。
マーク・ドレイクは弓を背負い、素早く盾を手に取った。彼は突進してくる獣の個体に目を凝らし、深く息を吸い込むと前に一歩踏み出す。
「来い…!」マークは低く呟き、盾を構えて重心を下げる。獣が突進してくる勢いに負けないよう、足をしっかりと地面に踏みしめた。
獣が勢いよく突進してきた瞬間、マークは冷静にタイミングを見計らい、盾を素早く傾けてその攻撃を受け流した。獣の突進は盾に当たり、力をそがれてバランスを崩す。マークはその隙を逃さず、盾で獣の頭を強く叩きつけ、さらに後方へと押し返した。
「今だ、攻撃を!」マークが叫ぶと、後ろに控えていたエリスが即座に矢を放ち、よろめいた獣を射抜いた。矢は獣の喉元に深く突き刺さり、獣は苦しそうに地面に倒れ込んだ。
「よし、やったぞ!」マークは汗を拭いながら仲間たちに声をかけた。彼の盾による防御が、部隊の後方を守る重要な役割を果たしたのだ。
「素晴らしい連携だ!」リュウ・アケミが後ろから声をかける。「マーク、その調子で頼む。まだ数はいるが、これで少しは押さえ込めた!」