130話:再び
騎士団は、次回の調査に向けて準備を整えるため、傭兵の募集を開始することに決定した。調査日数は10日間と定められ、その間に必要な人員を集めるための手続きが行われた。
募集要項は以下の通りである:
調査費用: 金貨10枚/1人
募集人数: 10人
追加報酬: 調査内容によって追加報酬あり
調査内容:
グリムドッグの生息範囲調査
グリムドッグの出現地域を特定し、その生息範囲や活動パターンを把握する。これにより、対策や安全対策を講じるための情報を収集する。
リーヴァルト王国城壁城門の調査
リーヴァルト王国の国境から馬で3日~4日の距離にある城壁の状態や城門の防備、周辺の様子を調査する。これにより、現地の安全状況や防御体制を把握する。
訓練場では、昼下がりの陽光が魔法の光に反射して、華やかな輝きを放っていた。レンデは、第一部隊のメンバーと共に、激しい訓練を行っていた。魔法の術式が描かれた床や障害物の中で、互いに切磋琢磨しながら、彼らは汗を流していた。
リリスは、レンデと並んで魔法の短縮詠唱を続けていた。その姿は、まるで長年の友人同士のように、自然な連携を見せていた。「レンデ、今日は少しペースを上げてみようか。君の力を見ていると、どんどん精度が上がっているね。」
レンデは微笑みながら応じた。「ありがとう、リリス。皆さんのおかげで、力の使い方が本当にスムーズになりました。」
アレンは、遠くから見守りながら、にっこりと笑いかけた。「レンデの成長ぶりには驚かされるばかりだよ。RANK6の魔法発動をあれほど自在に操れるなんて、感服するね。君がどれほどの力を持っているのか、まだ完全には知らないけど、その底なしの魔力には本当に驚いている。」
ユリスも、訓練の合間にレンデに近づき、優しい言葉をかけた。「君の努力と成果を見て、私たちも励まされているよ。君がここで素晴らしい成長を遂げているのは、私たちにとっても大きな喜びだ。」
レンデは心から感謝の気持ちを込めて答えた。「本当にありがとうございます。皆さんがこうして協力してくれたおかげで、こんなに大きな成果を上げることができました。私にとって、この部隊での経験はとても貴重です。」
その日の訓練が終わり、部隊員たちは徐々に帰路に着こうとしていた。そのとき、一人の騎士が訓練場に現れ、レンデに向かって急ぎ足で近づいてきた。彼の表情は真剣そのもので、何か重要な話があることを伝えていた。
「レンデ様、お疲れ様です。メッセージをお伝えしに参りました。」騎士は敬礼し、声を落としながら話し始めた。「調査部隊への参加についてですが、出発が一週間後に決まりました。」
その言葉に、レンデは少し驚き、心に緊張が走った。周囲にいる部隊の仲間たちもその話を耳にし、急に沈痛な雰囲気が広がっていった。第一部隊のメンバーたちは、レンデと深い友情を育んできたため、その出発に対する感情が複雑になっていた。
リリスが静かにレンデに近づき、優しく話しかけた。「一週間後の出発は、急な知らせだね。君がこれまでどれだけの努力をしてきたか、私たちはよく知っているし、きっと準備も整うと思う。でも、もし何か助けが必要なら、遠慮せずに言ってね。」
レンデはリリスの言葉に感謝しながら、深く頷いた。「ありがとう、リリス。皆さんのおかげで、ここまで来ることができました。出発までの一週間で、できる限りの準備を整えます。」
アレンも少し顔をしかめながら、心配そうに言った。「君の力を目の当たりにしてきたけど、調査部隊の任務は非常に危険だよ。君がどれだけ優れた力を持っていても、無事で帰ってきてほしいと思っている。必要なサポートがあれば何でも言ってくれ。」
ユリスが優しく微笑みながら言葉を続けた。「出発までの間、私たちは君の支えになりたいと思っている。どんな困難があっても、君のことを信じているし、できる限りサポートするから。」
レンデは仲間たちの応援に深く感謝し、自分の決意を新たにした。「皆さんの支えがあってこそ、ここまで来ることができました。出発までの間に、必要な準備を整え、最善を尽くします。」
騎士はレンデの決意を確認し、礼をしてからその場を離れた。部隊の仲間たちは沈痛な気持ちを抱えつつも、レンデを送り出すための準備を進め、彼の成功と安全を心から願っていた。